![]() 約32kmを駅伝方式で走り切った東北、東京、熊本の中学生たち
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日本フィランソロピー協会(東京・千代田)は7月17日、「チャリティー・リレーマラソン東京2016」を開いた。中学生による復興支援のプロジェクトで、中学生は街頭で募金活動を行ったほか、復興への思いを胸にマラソンのタスキをつないだ。これまで支援される側だった岩手県大船渡市の中学生は、自主的に熊本支援の寄付金を集めたという。
「チャリティー・リレーマラソン東京」は、中学生自ら募金の方法を考えたり、寄付金の使途を検討したり、議論や行動することで支援の輪を広げるとともに、子どもたちの成長につなげることを目指している。
今年は東北3県から6校、東京から10校、熊本から2校、合計119人の中学生が参加した。
「チャリティー・リレーマラソン東京」は5月から12月にわたる約8カ月のプログラムで、マラソンの開催前に「熟議」と呼ばれる授業を複数回行う。
支援される側の東北の熟議では、被災地の現状を映像にまとめ東京の生徒らに情報共有したり、地域の声を聞きながら寄付金の使い方を決めていったりする。4月に発生した熊本地震を受けて、急きょ熊本の参加も決まったという。
支援をする東京の参加校は、東北各校の映像を見ながら被災地の現状を理解し、学校内や地域イベント、駅前などで募金を呼びかける。マラソン前日の16日には、東北、熊本、東京の中学生が一緒になって、都内各所で街頭募金を行った。
熊本県から参加した高森東中学校の生徒は、「大きな声で募金を呼び掛けて寄付をもらって、とてもいいなあと感じた。みんなも自分も頑張れたことがうれしかった。熊本に帰ったら有意義に使いたい」と語った。
熊本地震で東北の苦しさに共感
マラソン当日は、日比谷国際ビル前から築地本願寺まで約32キロを駅伝方式で走った。約3キロを1区間とし、3キロごとにタスキをつないでいく。
走り終わった八王子市四谷中学校の生徒は「初めての参加で不安だったが、東北と熊本の笑顔のために頑張った。中学生活の誇りにしたい」と話した。
伴走ボランティアとして参加したファーウェイ・ジャパンの楊銘悦さんは、「何か被災地の力になりたいという思いで参加したが、中学生の元気な姿を見てこちらが励まされた」と嬉しそうだ。
大船渡市立日頃市中学校の生徒は、自主的に熊本支援の寄付金を集めたという。受け取った高森中学校の生徒は、「熊本地震を経験して、東北がいかに大変だったかが分かった。今も復興が完全に進んでいない中で、寄付を集めてもらえて感動した」と語った。
「チャリティー・リレーマラソン東京」では今年、中学生の募金活動や企業の協賛を合わせて約385万円が集まった。東北、熊本の中学生は今後、寄付金の使い方をさらに検討していく。東京の中学生は、8月から12月にかけて被災地を訪問したり、ボランティア活動を行ったりするという。
吉田 広子(よしだ・ひろこ)
株式会社オルタナ オルタナ編集部 オルタナ副編集長
大学卒業後、ロータリー財団国際親善奨学生として米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。2007年10月に株式会社オルタナに入社、2011年から現職。 「オルタナ」は2007年に創刊したソーシャル・イノベーション・マガジン。主な取材対象は、企業の環境・CSR/CSV活動、第一次産業、自然エネルギー、ESG(環境・社会・ガバナンス)領域、ダイバーシティ、障がい者雇用、LGBTなど。編集長は森 摂(元日本経済新聞ロサンゼルス支局長)。季刊誌を全国の書店で発売するほか、オルタナ・オンライン、オルタナS(若者とソーシャルを結ぶウェブサイト)、CSRtoday(CSR担当者向けCSRサイト)などのウェブサイトを運営。サステナブル・ブランドジャパンのコンテンツ制作を行う。このほかCSR部員塾、CSR検定を運営。