• 公開日:2016.07.28
フランスでオーガニック食品の売上高が15%増
    • 羽生 のり子

    フランスの2015年のオーガニック市場の成長は過去最高を記録した(C)Christine PEARD–concours photo Agence BIO

    2015年のフランスのオーガニック食品市場の総売り上げ高は前年比で14.7%増と大きく増えた。有機市場を統括する公的機関「アジャンス・ビオ」の最新調査によると、特に生産者の直売とオーガニック専門店の伸びが大きく、その7割以上が国産だったという。農地面積は23%増えた。オーガニックに転換中の農地面積は前年の倍になった。

    有機農業の促進のために環境省と農業省が設立した「アジャンス・ビオ」は、2016年5月に2015年度の統計を発表した。それによると、昨年のオーガニック市場の成長は過去最高を記録した。市場の総売り上げは5760億ユーロ(約65兆 6640億円)で、前年比で14.7%増。農業生産、面積、加工、販売、消費と全分野で大幅に伸びた。

    有機農面積は13億7500万ヘクタールで、前年比で23%増。転換中の面積は前年の倍に増えた。フランス全土の農業面積の5.12%が有機農業面積になった。地方別有機栽培面積で1位のオクシタニ地方だけで、フランス全土の有機農地面積の4分の1を占めている。

    栽培作物別に、全体の農地面積から有機の割合をみると、果樹園が全体の18%と最大だ。伸び率が大きいのは穀物栽培面積で、前年比で3割増となった。それを反映し、2017年には有機のパンを100%国産の穀物で調達できる予定だ。有機農場数は28884戸で、前年比で19%増となった。農家の半数が直売をしており、4分の1が加工も行っている。畜産では、乳牛の畜産農家数が前年比で15%増えた。

    消費者の購買意欲も堅調だ。家庭で消費する食べ物の中の有機の割合は、前年比で14,6%増。生鮮野菜果物が前年比24%増で一番伸びが大きく、次にシリアルや穀物・乾物類が17%増と続く。

    購入場所はスーパーが45%とトップだが、伸び率が高いのは農家の直売(前年比20%増)と専門店(前年比17%増)だ。消費者は、生鮮野菜果物は専門店で、乳製品はスーパーで買う傾向にある。ワインは直売で買うのが一番多い。

    2015年の特徴は、有機農産物の自給率が高まったことにより、国内で消費される有機食材の75%が国産になったことだ。輸出は前年比で27%伸び、3分の2をワインが占める。

    written by

    羽生 のり子(はにゅう・のりこ)

    環境、エコロジー、農業、食物、健康、美術、文化遺産を主な分野とするジャーナリスト。1991年からフランス在住。環境ジャーナリスト協会、自然とエコロジーのジャーナリスト・作家協会、文化遺産ジャーナリスト協会(いずれもフランス)の会員。共著「世界の田園回帰」(2017年、農文協)。

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