東アジアと東南アジアで排出される二酸化炭素の量は、世界の二酸化炭素排出量のほぼ4割を占めている。経済成長している同地域では、今後も二酸化炭素排出量が増えていくだろう。ただ、気候特性を考えると、化石燃料よりも再生可能エネルギーが同地域の成長やエネルギー需要にはふさわしいはずだ。(翻訳・編集:オルタナ編集部=小松遥香)
こうしたなかで、近年、東アジアと東南アジアにおいて再生可能エネルギーの需要が高まっているのは良い流れだ。実際に、2015年の世界のクリーンエネルギー投資のうち半分以上を同地域が占めている。
洋上風力発電への高まる関心
長年、東アジアや東南アジアでクリーンエネルギー投資と言えば太陽光発電だったが、ここ数年は洋上風力発電への関心が高まっている。
洋上風力発電大手のドンエナジー(デンマーク)はアジア太平洋地域に商機を見出し、台湾に支社を置く準備をしている。
ドンエナジーの最高戦略責任者のマーティン・ノイバートは「洋上風力発電はまさに今、地球規模産業になろうとしている」「現在、2020年を目途に風力発電プラントのパイプライン建設に着手しており、アジア太平洋地域には大いなる可能性があると考えている。現段階において、台湾はどこよりも成熟している市場なので、ここから始めようと思っている」と話した。
1000万人の生活を洋上風力発電で支える
現在、台湾はエネルギーを化石燃料の輸入に依存しているが、時間をかけて徐々に持続可能エネルギーの割合を増やしていこうとしている。
同国では再生エネルギーに関する総合戦略が議会を通過し、洋上風力発電は重要な役割を担うことになる。実際に、台湾、特に西海岸は洋上風力発電に適している。また、台湾の人口密度の高さや地価の高さも洋上風力発電の建設を後押ししている要素だ。
政府は、2030年までに洋上風力発電でおよそ4ギガワットを賄うという目標を掲げている。これが実現すれば、1000万人の年間消費電力をクリーンエネルギーで調達できる計算になる。
実際にどれだけの量を洋上風力発電で発電できるかは、これから明らかになるだろう。いずれにしても、今後さらに、ドンエナジーのような洋上風力発電事業を手掛ける企業の東アジアや東南アジアへの進出は増えていく。