• ニュース
  • 公開日:2016.07.13
  • 最終更新日: 2025.03.21
ナイキやエスプリ、有害化学物質対策の格付け最下位に
    • 吉田 広子

    国際環境NGOグリーンピースは7月5日、大手衣料品ブランドを展開する企業19社の有害化学物質全廃への取り組みを比較した世界ランキング「デトックス・キャットウォーク」を発表した。最上位の「先取り前衛ブランド」にはザラ(Zara)を展開するインディテックス、H&M、ベネトンの3ブランドが選ばれた。ヴィクトリアズ・シークレット、エスプリ、ナイキ、李寧(リーニン)の4ブランドは有害化学物質全廃のために必要な措置を取っていないため、最下位となった。

    グリーンピースは、衣料品ブランドにサプライチェーンでの有害化学物質使用状況の情報公開と、2020年までの有害化学物質の全廃を求めている。繊維産業は水質汚染を招く大きな産業の一つで、中国などの繊維生産国では地下水の80%以上が安全に飲めなくなっているという。

    「デトックス・キャンペーン」では、衣料品ブランドを「先取り前衛ブランド」「進化系ファッションブランド」「NGファッションブランド」の3グループに分類し、各社の有害化学物質全廃への取り組み状況をまとめた。

    主な評価基準は、製品と製造工程における有害化学物質排出の2020年までの全廃を進めているか、PFCs(パーフルオロカーボン類)などの有害化学物質の削減、より有害性の低い物質への代替に力を入れているか、排出している化学物質とサプライヤーの情報を公開しているか――の3点だ。

    最上位グループのインディテックス、H&M、ベネトンの3ブランドは、グリーンピースと合意した2020年までの有害化学物質全廃に向けて取り組みを進めていることが評価された。

    日本企業ではユニクロを展開するファーストリテイリングが3グループ中2番目の「進化系ファッションブランド」に位置付けられ、同グループ12ブランド中上位5ブランドの一つとして評価された。同社は、2020年1月1日までに事業活動における有害化学物質を全廃することを、グリーンピースと合意している。

    グリーンピース「デトックス・キャンペーン」リーダーのカーステン・ブローダ氏は、「H&M、ザラ、ベネトンの3社がファッション業界をリードし、有害化学物質全廃の新たな基準を定めたことを歓迎する。3社の貢献により、大規模、中規模に関わらず、ファッション産業において有害化学物質の削減が可能なことが証明された。今回のランキングでは、繊維業界全体が有害化学物質全廃について十分な取り組みをしていないことが示された」とコメントしている。

    同氏は「調査した19社の内、トップグループ3社以外の16社は、情報公開面、または有害化学物質削減でランクを下げている。『2020年までに有害化学物質全廃』という期限まであと3年。16社は期限に間に合うようスピードを上げる必要がある」と訴えた。

    一方、「今回の大きな進歩は、熱心に取り組む複数の企業が、自社サプライチェーンをしっかりと公表したこと。完全なサプライヤーリストを公開し、互いの信頼関係の上に成り立つ、長期的な関係がサプライヤーと築かれている傾向がある。これは有害化学物質を全廃する上で極めて重要」と評価した。

    written by

    吉田 広子(よしだ・ひろこ)

    株式会社オルタナ オルタナ編集部 オルタナ副編集長

    大学卒業後、ロータリー財団国際親善奨学生として米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。2007年10月に株式会社オルタナに入社、2011年から現職。 「オルタナ」は2007年に創刊したソーシャル・イノベーション・マガジン。主な取材対象は、企業の環境・CSR/CSV活動、第一次産業、自然エネルギー、ESG(環境・社会・ガバナンス)領域、ダイバーシティ、障がい者雇用、LGBTなど。編集長は森 摂(元日本経済新聞ロサンゼルス支局長)。季刊誌を全国の書店で発売するほか、オルタナ・オンライン、オルタナS(若者とソーシャルを結ぶウェブサイト)、CSRtoday(CSR担当者向けCSRサイト)などのウェブサイトを運営。サステナブル・ブランドジャパンのコンテンツ制作を行う。このほかCSR部員塾、CSR検定を運営。

    News
    SB JAPAN 新着記事

    AIの環境負荷を評価する「AIエネルギースコア」が登場 
    2025.04.30
    • ワールドニュース
    • #テクノロジー
    • #AI
    循環型経済に向けて、企業に求められることとは
    2025.04.28
    • ニュース
    • #サーキュラーエコノミー
    • #プラスチック
    「RE100」が「石炭混焼発電を禁止」に基準変更――日本の脱炭素戦略へ影響必至か
    2025.04.28
    • ニュース
    • #再生可能エネルギー
    • #カーボンニュートラル/脱炭素
    発酵と再生――微生物が導く未来の循環型社会
    2025.04.25
    • ニュース
    • #リジェネレーション
    • #エコシステム

    Ranking
    アクセスランキング

    • TOP
    • ニュース
    • ナイキやエスプリ、有害化学物質対策の格付け最下位に