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  • 公開日:2016.07.07
  • 最終更新日: 2025.03.21
「社会起業」の国家戦略特区 仙台市の挑戦
    • 池田 真隆

    ボランティアで芽生えた利他の意識を社会起業へつなげたいと話す伊藤副市長

    国家戦略特区である仙台市は、震災後に女性起業家が増えていることもあり、自らを「女性活躍・社会起業の改革拠点」と位置付けた。社会起業家の労働紛争を防ぐための相談窓口を設け、NPO法人の設立認証手続きも簡素化した。「震災で生まれた利他の意識を、社会起業へつなげたい」と意気込む伊藤敬幹・副市長に戦略を聞いた。

    仙台市は2015年8月、国から法律などの規制を緩和できる国家戦略特区に指定された。現在、福岡市や今治市、新潟市など全国に10区域ある。

    同市は、震災後の女性起業家の増加を背景に、同市を「女性活躍・社会起業の改革拠点」と位置づける。同市は東日本大震災以降、新たな事業所が全体に占める割合を示す「開業率」は2009年の4位から、2位まで上昇した。

    女性からの起業相談件数は、2011年は56件だったが、2014年には444件に増えた。(出典:仙台市産業振興事業団調査)

    震災で役割見出す

    起業相談に来る女性の年齢は30~40代が中心で、働いた経験がない人も少なくないという。同市の伊藤敬幹・副市長は、女性起業家が増えた背景について、「多くの人が地域のためにボランティアをして、自分自身の役割を見出した。フェーズが変わり、ボランティアだけでは続けていけなくなり、事業化へと発展した」と話す。

    事業経験が少ない起業家も多いので、社会起業家に特化した労働紛争を防ぐための相談窓口を設けた。さらに、約1カ月かかっていたNPO法人の設立認証の手続き期間を2週間ほどに縮めるなど、起業しやすい仕組みを整えた。

    市としては、社会起業家の定義は定めていない。「利他性のある事業なら、社会起業家と判断している」と伊藤副市長。

    社会起業家への資金的な支援はまだ施策としてないが、起業家コミュニティをつくっている。伊藤副市長は、「起業家は従業員に相談できない悩みを抱えていることがあり、孤独の存在。起業家どうしをつなげて、精神的な負担を減らしたい」と話す。

    written by

    池田 真隆(いけだ・まさたか)

    株式会社オルタナ オルタナ編集部 オルタナS編集長

    1989年東京都生まれ。立教大学文学部文芸思想学科卒業。大学3年から「オルタナS」に特派員・インターンとして参画する。その後、編集長に就任し現在に至る。オルタナSの編集及び執筆、管理全般を担当。企業やNPOなどとの共同企画などを担当している。 「オルタナ」は2007年に創刊したソーシャル・イノベーション・マガジン。主な取材対象は、企業の環境・CSR/CSV活動、第一次産業、自然エネルギー、ESG(環境・社会・ガバナンス)領域、ダイバーシティ、障がい者雇用、LGBTなど。編集長は森 摂(元日本経済新聞ロサンゼルス支局長)。季刊誌を全国の書店で発売するほか、オルタナ・オンライン、オルタナS(若者とソーシャルを結ぶウェブサイト)、CSRtoday(CSR担当者向けCSRサイト)などのウェブサイトを運営。サステナブル・ブランドジャパンのコンテンツ制作を行う。このほかCSR部員塾、CSR検定を運営。

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