• 公開日:2016.05.15
熊本の若者主体で「ボランティア村」開設
    • 辻 陽一郎

    崇城大学ボランティアビレッジウェブサイト

    ボランティアの宿泊場所不足を改善するため、地元の若者たちが5月初旬、崇城大学(熊本市)に「ボランティアビレッジ」を開いた。テント泊や車中泊ができるスペースが約85組分あり、熊本駅から二駅と交通の便も良い。地震発生から1カ月、ボランティアニーズが本格化するにあたって、ボランティアの拠点となることが期待される。

    熊本地震発生以来、多くの支援関係者やマスコミが熊本入りしたため、中心街のホテルや旅館はほとんど空きがない現状だ。ボランティアとして訪れた人が宿を探しても、中心地から車で1~2時間離れた場所でしか見つけることができない。

    だが、ボランティアの力は今後ますます必要になってくる。応急危険度判定が進み、罹災証明書の発行も本格化することで、家屋の片付けや解体した家屋のがれき撤去といった作業が発生し、被災者からの要望増加が想定される。

    宿泊所不足に危機感を感じたのは、熊本の若者たちだ。東日本大震災で活躍した「石巻専修大学ボランティアキャンプサイト」のような施設を熊本でも作ろうと仲間を集めた。中心となったのは、熊本を拠点に竹あかり演出を行う「ちかけん」のメンバーだ。

    「ちかけん」は、6000名以上の市民ボランティアが参加する熊本市の祭「みずあかり」の演出に携わっているため、多くの人から協力を得ることができた。崇城大学へ協力を依頼し、駐車場のスペースを無償で提供してもらえることになった。

    ボランティアビレッジを立ち上げてから、連日30~40組のボランティアたちが訪れている。西日本の人が多いが、埼玉県や神奈川県からやってくる人もいる。1泊500円でテントの貸し出しや、レンタルバイクやレンタル自転車もある。

    掲示板には最新のボランティア募集情報を載せ、ボランティア交流スペースで情報交換もできるため、ボランティアの拠点として重宝されている。

    ボランティアビレッジの運営責任者は、東海大学4年の片山広大さん。宿泊の受付や住民たちとの交流イベントなど運営全般を任されている。「ちかけん」の手伝いをしていたことで、声がかかった。他にも熊本大学や崇城大学など、県内の学生たちがボランティアとして支えている。

    written by

    辻 陽一郎 (つじ・よういちろう)

    オルタナ特約記者、NPO新聞代表。フリーライターとして、NPO・NGOやボランティア、ソーシャルベンチャー、企業のCSRなどを中心に取材。

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