• 公開日:2016.04.06
  • 最終更新日: 2025.03.21
バナナペーパー、CO2削減や貧困解決に効果
    • 辻 陽一郎

    バナナペーパーの原料になるバナナの茎

    バナナペーパーとは、廃棄されたバナナの茎から繊維を取り出して作る紙の種類。資源の有効活用だけでなく、貧困問題の解決につながる紙として注目を集めている。「エコ名刺」で知られる丸吉日新堂印刷(札幌市)とワンプラネット・カフェ(東京・港)は2011年から、両社のノウハウを集め、アフリカ・ザンビアで独自のバナナペーパー製造・販売に乗り出した。カーボン・オフセットを付加し、CO2削減にも取り組む。

    丸吉日新堂印刷が最初に作った「エコ名刺」は、ペットボトル再生材を使った名刺だ。きっかけは、飲料会社から廃棄されたペットボトルを使った商品が作れないか、相談を受けたことだった。

    「バナナペーパーやカーボン・オフセットなどの名刺を使用すると、使った人は環境への思いを語れるようになる。それが環境配慮やポイ捨てをしないといった行動に変化していく。1枚の名刺から人の意識を変えることができる」と阿部晋也社長は語る。

    バナナペーパーの製造は2011年、ザンビアのエンフエ村でスタートした。貧しい村では、生活のために、仕方なく違法伐採を行う人たちもいた。バナナペーパーは、廃棄されていたバナナの茎を使用するため、資源の有効活用になるだけでなく、雇用にもつながっている。

    実際にバナナペーパーの製造を通じて、350人の村人が1年間生活できるだけの雇用が生まれたという。2016年1月には、ザンビアにパルプ繊維工場が建設され、事業を拡大している。さらに、国際フェアトレード認証も申請中だ。

    丸吉日新堂印刷は、カーボン・オフセット付きのノートやポストカード、一筆箋などを開発している。カーボン・オフセットとは、地球温暖化防止を推進するための仕組みで、CO2排出量の削減努力を最大限行いながら、排出してしまう分は、他の場所での排出削減・吸収量等の購入により、埋め合わせるというものだ。

    マイクライメイトジャパン(東京・中央)の協力のもと、「北海道・尺別山林の森づくりプロジェクト」から創出されるクレジットを活用。丸吉日新堂印刷の商品購入を通じて北海道の自然を守ることができる。

    バナナペーパーなどのエコ商品は、まだ社会に普及しているとは言い難い。だが、コスト重視だった大企業でも、名刺や賞状、包装材などに、バナナペーパーを導入した事例も増えはじめている。

    written by

    辻 陽一郎 (つじ・よういちろう)

    オルタナ特約記者、NPO新聞代表。フリーライターとして、NPO・NGOやボランティア、ソーシャルベンチャー、企業のCSRなどを中心に取材。

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