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  • 公開日:2016.03.04
  • 最終更新日: 2025.03.21
スリランカの貧困層、オンライン教材で学力が向上
    • 吉田 広子

    コロンボでSurala Jukuに通う生徒

    オンライン学習教材を提供するすららネット(東京・千代田)は「世界の教育格差の根絶」を目指し、2015年5月からスリランカでBOP層の子どもたちを対象にした学習塾を展開している。これまでに4校を開校し、生徒数は300人を超えた。3月には新たに2校開校する。月謝が約390円という低価格で、教師の質に左右されないオンライン学習システムは、スリランカでも学力向上の成果を上げている。

    「子どもが家に帰ると、塾のことを嬉しそうに話している。本当に楽しく学んでいるようだ」
    スリランカ・コロンボ市の塾に通う生徒の保護者は、こう感想を寄せた。スリランカをはじめ途上国では、学校の建設が進み就学率が上がる一方、教師の育成が追い付かず、教育の質が問題になっている。

    そこで、期待されているのが、すららネットのオンライン学習システムだ。同社は2008年の創業以来、「ゲーミフィケーション」(ゲームの要素を取り入れること)を応用したオンライン学習教材「すらら」を国内の小・中学生、高校生向けに提供してきた。

    ゲーム感覚で楽しく学べるだけでなく、個人の理解度に合わせた反復演習が可能で、特に低学力生徒の学力向上で成果を上げてきた。国内の受講者数は3万人以上に上る。
    すららネットの湯野川孝彦社長は「日本でも途上国でも、できない子は置いてきぼりになってしまいがちだ。一度、授業についていけなくなると、追い付くのが難しい。途上国の発展にとって、教育は最も重要な課題の1つ。『すらら』を使って、世界の教育格差をなくしていきたい」と意気込む。

    同社は2014年10月、国際協力機構(JICA)によるBOPビジネス連携促進の採択を受け、スリランカの教育格差是正プロジェクトを始動。2015年5月に学習塾を開校した。
    スリランカでは、はじめにeラーニングによる算数塾「Surala Juku」2校を開校し、定員の40%を上回る希望者がいたという。そこで、9月に2校を追加で開校したところ、即日220人を超える入塾申込みがあった。現在は4校で、300人以上の子どもたちが学んでいる。

    スリランカの平均月収は約2万円。Surala Jukuの月謝は500スリランカルピー(約390円)で、負担の少ない価格に設定されている。すららネットはスリランカで、2017年末までに100教室、生徒数1万人を目標としている。

    written by

    吉田 広子(よしだ・ひろこ)

    株式会社オルタナ オルタナ編集部 オルタナ副編集長

    大学卒業後、ロータリー財団国際親善奨学生として米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。2007年10月に株式会社オルタナに入社、2011年から現職。 「オルタナ」は2007年に創刊したソーシャル・イノベーション・マガジン。主な取材対象は、企業の環境・CSR/CSV活動、第一次産業、自然エネルギー、ESG(環境・社会・ガバナンス)領域、ダイバーシティ、障がい者雇用、LGBTなど。編集長は森 摂(元日本経済新聞ロサンゼルス支局長)。季刊誌を全国の書店で発売するほか、オルタナ・オンライン、オルタナS(若者とソーシャルを結ぶウェブサイト)、CSRtoday(CSR担当者向けCSRサイト)などのウェブサイトを運営。サステナブル・ブランドジャパンのコンテンツ制作を行う。このほかCSR部員塾、CSR検定を運営。

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