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旅行大手のエイチ・アイ・エスは4月の家庭向け電力小売自由化に向け、3日から全国の店舗およびオンラインで電力販売契約の事前受付を始めた。電力を供給するHTBエナジー(長崎・佐世保)は、地熱など自然エネルギーの電源開発にも力を入れている。
HTBエナジーはエイチ・アイ・エス傘下のリゾート施設「ハウステンボス」の子会社で、同施設に電力を供給してきた経験を活かすという。
エイチ・アイ・エスは電力小売参入の理由を「顧客の電気料金の節約に貢献し、その費用で旅に出てもらえたら」と説明。既存の電気料金と比較して、最低でも5%以上の引き下げを保証することを謳う。旅行商品と電力契約を同時に申し込むと、旅行商品を対象に海外3千円、国内1千円を値引きするキャンペーンを2月1日まで実施。契約目標数については非開示とした。
供給電力に含まれる自然エネルギーの見通しについてエイチ・アイ・エスは「調達先の電力市場で、自然エネルギーの供給量が多いとは言えない」と話す。HTBエナジーも「自然エネルギー電力を極力選びたいが、現時点で導入目標を掲げるのは難しい」との考えだ。一方で同社は「自然エネルギーへの顧客の要望が強ければ重視したい」とも話した。
電力小売の全面自由化を前に、新電力による顧客獲得の動きが活発だ。東京ガスやJCOM、コンビニ大手のローソンなどが参入を予定しており、東京電力の現行料金よりも割安となる料金プランが発表されている。
これに対抗する形で東電も7日に新料金プランを発表。契約アンペア数が50アンペアで電気使用量が月700キロワット時の家庭の場合、2年契約で最大5%の割引となる内容だ。ただし東電の新料金プランは電力使用量の多い家庭を優遇。また新電力も、例えば東京ガスでは30アンペアからの契約となるなど、電力消費の少ない世帯の選択肢は限られている。
斎藤 円華(さいとう・まどか)