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米国

LIXILの簡易トイレ、米誌アワード2部門で入賞

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「SATO」は一台2ドル以下で、排水設備なしに設置が可能だ

米ビジネス誌「ファストカンパニー」が主催する第一回「世界を変えるアイデア賞」で、LIXLの簡易式トイレ「SATO」が健康部門と世界を変えるアイデアの一般部門の2部門でファイナリスト(入賞)に選ばれた。低コストでインフラ設備なく設置ができる点で高く評価された形だ。2012年の開発以来、ハイチやインドなど14か国で、すでに100万ユニット以上設置されている。(寺町 幸枝)

米国の経済誌「ファストカンパニー」が、2014年ごろから積極的な特集をしているのが「世界を変えるアイデア」だ。2017年はその中から突出したイノベーティブなアイデアを、賞という形で評価することにしたという。

食料部門からテクノロジー部門まで、12部門に1200を超えるエントリーがあった。SATOの他入賞を果たしたのは、GEやマイクロソフトといった大手企業のプロジェクトから、自動運転するトラックの「Otto」や超高速移動システム「Hyperloop One」といったスタートアップ企業までが名を連ねた形だ。LIXILの簡易式トイレ「SATO」は、24の「世界を変えるアイデア部門」と17の「健康部門」の一つに選出された。

簡易トイレ「SATO」は、排水設備なしに設置が可能な上、一台2ドル以下という低価格が特徴だ。さらに、耐久性も20年から30年と非常に長い。従来の汲み取り式は、設置に費用や時間がかかるだけでなく、汚臭や病気の感染といった問題が多かった。

LIXILのパブリック・アフェアーズ部門広報部広報グループの野中麻里子担当によると、2013年にアメリカンスタンダード社(現LIXILグループ)が、ビル&メリンダ・ゲーツ財団からの資金援助を受けて開発したこの簡易トイレは、バングラディシュを皮切りに、以後ケニア、ハイチ、フィリピン、インドなどの各国で試験導入や販売が行われてきたという。

SATOプロジェクトは、2016年5月からLIXIL内で本格的に事業化され、販売台数は2016年6月に100万台を突破している。

現在、生産は、契約しているバングラディシュとウガンダの工場で行っている。一台あたりのロイヤリティーは10セントだ。現地工場を使うことで、雇用を生むだけでなく、費用を2ドル未満に抑え、ニーズのある国への流通費用を抑えられるという、複数のメリットが生まれている。一方、同社は立ち上げ当初から「Flash For Good」キャンペーンを立ち上げ、社会貢献の一環として120万台のSATOを寄付するという活動も継続して行っている。

LIXILは、2020年までに1億人の衛生的な排泄環境を整えることを目標に掲げている。トイレだけでなく、今後は洗面器といった関連商品をさらにSATOブランド内で、展開する予定だという。

寺町 幸枝 (てらまち・ゆきえ)

Funtrapの名で、2005年よりロサンゼルスにて取材執筆やコーディネート活動をした後2013年に帰国。現在国内はもとより、米国、台湾についての情報を発信中。昨年より蔦屋書店のT-SITE LIFESTYLE MAGAZINEをはじめ、カルチャー媒体で定期出稿している。またオルタナ本誌では、創刊号以来主に「世界のソーシャルビジネス」の米国編の執筆を担当。得意分野は主にソーシャルビジネス、ファッション、食文化、カルチャー全般。慶應義塾大学卒。Global Press理事。