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必要なことは「脱・コンテンツ」へのビジネス転換――「Glocal Design @ Future Lab」②

ワークショップ「Glocal Design @ Future Lab――『共感×共創』によるクロス・バリューの創出(主催=一般社団法人地域デザイン学会)」後半のテーマは「グローバル課題とその解決策提案」だ。大きな枠組みのテーマに対して、参加者が具体的な行動や解決案を議論した。原田保氏(一般社団法人 地域デザイン学会 理事長)は後半の議論を統括して「脱・コンテンツなどのコンテクスト転換が必要だ」と述べた。(サステナブル・ブランド ジャパン編集局)

前半の様子はこちら

プレゼンされたテーマは次の3つ(かっこ内はプレゼンテーター)。

「世界の貧困の問題解決に向けて、日本の支援の輪をどう広げるか?」(高木美代子氏・公益財団法人 ケア・インターナショナルジャパン)

「循環型経済へ向けてどうやって行動変革を起こすべきか?」(大西亮真氏・公益財団法人 日本環境会)

「アートによる地域の活性化は今後も進んでいくのか?」(藤田直哉氏・地域デザイン学会)

左から高木美代子氏、藤田直哉氏、大西亮真氏

高木氏は「世界の貧困層の7割が女性。課題解決には国内企業の多様な部署との対話が課題」と訴える。また大西氏は、循環型経済の実現に向けて、消費者に対する教育、普及啓発活動に取り組む。エコマークや子どもエコクラブなどの活動を取り上げそれぞれの課題を説明。「どうやって活動の輪を広げるべきか」と投げかけた。

批評家の藤田氏は5年前から地方のアート活動を研究している。社会課題解決に役割を持つアートフェスティバルの国内外の実例を挙げ、2020年以降、アート事業に対する助成金が削減されることを課題として提示した。

クロス・バリューの創出を体感する白熱した討論

前半同様、参加者は興味を持ったテーマを選択しディスカッションを行う。年齢や所属、分野の違う参加者が集まっているため興味の方向は偏らず、ほぼ均等に各グループにわかれた。それぞれのテーブルには議論を率先するファシリテーターが1名参加するため、煮詰まっても討論が止むことはなく、活発なやりとりで会場は賑わう。

参加者はファシリテーターに質問を交えながら課題の周辺の状況を確認し、自身の経験や知識を踏まえ、仕組み作りの意見、アイデアを出す。視点は地域、企業、生産者、ブランド、投資など、どのグループの議論も多岐に渡っている。「えっ」「なるほど」といった感嘆の声も聞かれ、参加者は異なる立場、業種間でのクロス・バリュー創出の現場を体感していた様子だ。

必要なのはコンテクスト転換、脱コンテンツ――

貧困問題をテーマにしたグループの発表では女性の自立を目標に設定。「国内の協力体制を創るために課題の認知共有が必要」とした。さらにダイバーシティ推進企業を共創パートナーに想定し、候補となる企業名を挙げた。

循環型経済の実現をテーマとした発表では「サプライチェーンが長いことにより生産者の顔が見えにくくなる」とし、「生産者や原料に向き合う会社が良い会社」と定義。SNSの利用やイベントなどで消費者に体験の機会を提供し、エコラベルだけではわからない「良い会社」を見える化することで、ソーシャルな購入を促し、循環を生み出すことを提案した。日本環境会の大西氏は「議論のレベルが高い。消費者にリーチするための体験に力を入れることが必要だと感じた」と話した。

また、アートによる地域活性化がテーマの発表では「ゴミ問題×アート」「交通×アート」といった「クロスアート」を提案。どのような課題もアートとクロスさせることで行政や企業を巻き込み、活動を大きくするという自由な発想が発表された。またアートと企業の関わり方の実例も示され、発表を受けた藤田氏は「企業で働く参加者が、収益を上げる仕組みづくりの一歩手前まで議論した。非常に有意義だった」と話した。

地域デザイン学会の原田保・理事長

後半のワークショップを終え、原田保氏は「コンテクスト転換が必要だと感じた部分もある」と議論を分析した。同氏によればまず、ポジショニングの転換が必要だという。製品開発、マーケティングといった企業の軸に、社会貢献に関わる担当者がアグレッシブな姿勢で食い込むことは必須だ。

また、観光産業や健康産業は国が衰退すると興隆すると言われるが「国勢が横這いでもそれらの産業が伸びるように転換を」と原田氏は述べる。最後にビジネスモデル自体の転換だ。「今も基本的なビジネスモデルとなっている『大量生産・大量販売』から脱却し、モノをつくらないで利益を得ること、つまり脱コンテンツが大事だ」と総括した。

「セッション自体がイノベーション」

半日に渡って開催されたワークショップ「Glocal Design @ Future Lab」は大盛況だった。ある学生の参加者は記者に「社会人の方とアウトプットする機会は初めて。多様な観点から話を聞けてすごく刺激的で楽しかった。議論ではビジネスの透明化の話をしたが、共感してもらえ、自分の方向性に自信が持てた」と話した。また別の参加者は「このセッション自体がイノベーションだと感じた。地方にいると情報が入ってこないので、このような場が必要だ」と話した。

会場での問題的や議論、発表はグラフィック・レコーディングの手法でリアルタイムに記録された。