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ブランド・イノベーターのためのESG情報サイト 「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)

「共感×共創」で課題解決を目指すワークショップ――「Glocal Design @ Future Lab」①

サステナブル・ブランド国際会議2019東京1日目の3月6日、Special Event会場では、ワークショップ「Glocal Design @ Future Lab(主催=一般社団法人地域デザイン学会)」が開催された。テーマは「『共感×共創』によるクロス・バリューの創出」だ。企業、NPOや大学などがどうマッチングし、課題解決に向けたアイデアを実践化、理論化をするのか。ローカルとグローバル、それぞれの課題解決策を模索する2部構成で、参加者たちは専門分野の垣根を超えたディスカッションを行った。(サステナブル・ブランド ジャパン編集局)

「脱おもてなし」への転換を

ワークショップに先立って3人のスピーカーが講演を行い、現在の課題解決に関する潮流や共創の考え方を指し示した。

ソーシャルデザインを手がける原田保氏(一般社団法人 地域デザイン学会 理事長)はコンテンツではなくコンテクストが重要という自身の考えを示し、「ビジネスを創るにあたって重要な2つの観点」として「脱ものづくり・脱おもてなし」を掲げた。「時間と空間を支配するためには『スタンダード』の創出が必要」「まず最大の価値を生み出す『サービス』にエネルギーを割くべき」と語った。既存の言葉を深掘りし、ビジネス創出のキーポイントを鋭く解説した原田氏の言葉に、会場の参加者は大きな刺激を受けた。

左から青木氏、原田氏、鵜尾氏

次に登壇したのは鵜尾雅隆氏(認定NPO日本ファンドレイジング協会)。鵜尾氏は「経済的リターンと同時に社会的なリターンを求めるインパクト投資の市場は30兆円を超えている」と世界の潮流を解説。NPOに血を通わせる金融との関わり方を示し、「地域デザインを考える上でNPOが持つ最も大きな力は枠を超える力だ」と締めくくった。

セッションの総合ファシリテーターを務める青木茂樹氏(駒沢大学)は「今セッション参加者のプロフィールは様々。それぞれの知見や持っているコンテンツを活かし、サステナビリティに向かった新しい事業のアイデアを」とワークショップへの期待を語り、参加者の共感・共創への姿勢と連携を促した。

ワークショップA 「ローカル課題とその解決策提案」

今セッションのワークショップはユニークな方法で行われた。まず地域の課題解決に関心を持つ企業やNPOから、3つの違ったテーマについて問題提起プレゼンテーションが行われる。参加者は興味を持ったテーマをひとつ選び、選んだテーマについてグループでディスカッションを行う。前半のテーマは「ローカル課題とその解決策提案」。プレゼンされたのは以下の3テーマだ(カッコ内は提案者)。

「瀬戸内の諸島連携による観光開発をどのように進めるのか?」(磯田周佑氏・地域デザイン学会)

「自転車活用によって、脱限界集落、そしてサステナブルな地域社会をいかにつくるか?」(山本薫氏・同)

「東京パラリンピックに併せて、補助犬の啓発普及をどう展開するか?」(橋爪智子氏・NPO法人 日本補助犬情報センター)

左から磯田氏、山本氏、橋爪氏

磯田氏によると、瀬戸内地域の、地中海をモデルとしたブランド戦略は国内でも功を奏している一方、自身が手がけるローカル雑誌「せとうちスタイル」は赤字だという。瀬戸内のブランディング構築について参加者にアイデアを求めた。

山本氏はロードバイクを通した地域活性化の活動を紹介。「NPO法人だからこそできる活動もあるが、どう企業や自治体の参画を促すべきか」と問題提起をした。

橋爪氏は補助犬をパートナーとした障がい者の社会参加推進活動を紹介。その中で「補助犬について知らないと回答した人が68%、同伴拒否の経験がある補助犬ユーザーは66%」と社会の認知不足を指摘。同伴拒否の実例を挙げ、「オリ・パラを目前にして一人の人間をどう捉えるのか、日本は問われている」と切実に訴えた。

SDGs、youtuber……参加者の発表は潮流を反映

プレゼンを踏まえ、ファシリテーターを加えた35名の参加者は興味を持ったテーマを選ぶ。5~7名のグループに分かれた各テーブルで、白熱した議論が繰り広げられた。

参加者は職業、年代などの垣根を越えて議論し、発表を行った

瀬戸内地域の観光開発をテーマに選んだあるグループの発表では「既存のコアなファン層をせとうちスタイリストとし、価値観を拡散」といった戦略アイデアが出された。また、別グループの「子どもの社会的価値観を育て、地域に根ざすことで将来の顧客セグメントとなる」との意見と併せ、磯田氏は「『せとうちスタイリスト』という発想は面白く、深みのある議論だった」と感想を述べた。

ロードバイクによる地域活性化をテーマに話し合ったあるグループは多様な人を呼び込むために自転車に拘らず、車椅子を利用したダイバーシティなレースの開催を提案した。また、補助犬の啓発普及を議論したグループは「活動をSDGsに当てはめ、同じ番号に力を入れる企業をパートナーに選定」とSDGsベースでの価値観のすり合わせを提案。この他にも「youtuberとの共創」や「動画やSNSを利用した認知度の向上」といった、社会の潮流に合わせた意見を始め、参加者はさまざまな視点からの発表を行った。

前半のワークショップを総括して原田氏は、社会課題に対して共感を用いた課題解決を目指す上で、3つの困難が伴うと解説した。まず、ビジョンと組織、どちらのゴーイングコンサーン(事業活動の継続)なのか。第二に、地域が先か事業領域が先か。第三に、企業や行政と連携する上で目的意識をすり合わせること。つまり、個人間なのか、組織間なのかで関係が変わるという点だ。「これらの課題を認識しながら選択することが重要だ」とさらなる協創を促した。