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サステナブル・ブランドの作り方

第14回:日本の中にある発展途上国(上)

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SB-J コラムニスト・足立 直樹

女性を縛っているのは誰?

Photo:Daryan Shamkhali

こんにちは、サステナブルビジネス・プロデューサーの足立です。最近また色々と炎上するコマーシャルが出てきているようです。特にジェンダー(性)をテーマにした広告は炎上することが多いようです。

ジェンダーによる役割に対するステレオタイプな見方が無意識に多くあり、これが炎上を招いているのではないかと思います。そのような中で珍しく、多くの女性から共感を受けた日本企業の広告があります。今回はその広告をご紹介しましょう。まずは以下の映像をご覧ください。

リクルートPOLA (2017年ver.)

「この国には、幻の女性が住んでいる」という言葉で始まるこの映像、実は化粧品会社のポーラが、同社のビューティーディレクター、すなわちお客さまにアドバイスをするスタッフを募集するためのリクルーティングの映像です。したがってCSRであるとか、サステナビリティであるとか、そういった活動を紹介するための映像ではないことにまず注目していただきたいと思います。

ところでその「幻の女性」とは一体、何者なのでしょうか。それはこの映像を見ていただければわかりますが・・・

「誰かのそうあるべきが重なって、いつの間にか、私が私の鎖になりそうになる」

つまり「女性はこうあるべし」というステレオタイプな女性観、女性に期待される役割こそが、女性の行動を縛りつけているのだというのです。

この映像に共感する人が多いことを考えると、実際にそう感じる女性がいかに多いかということでしょう。もちろん職場においてもまだまだそうなのだと思います。しかしポーラは、自分たちの職場はそうではないよという意味で、敢えてことのことをテーマにしたのでしょう。

働きやすさとか、女性の活躍しやすさとか、そういった課題(テーマ)をサステナビリティの文脈では「ダイバーシティ(多様性)」というテーマに含めています。多様な立場の人々が同じように働きやすいか、差別を受けることはないか、そういう問題意識です。

さて、 ポーラがダイバーシティを高めるために実際にどのような取り組みをしているのか、それがどのぐらい他社の比べて優れているのか。残念ながら私は詳しいことは知りませんので、そのことに対しての評価はひとまず横に置いておきましょう。

しかし、女性のスタッフを募集する際にこのようなメッセージを発するのですから、かなり力を入れているに違いありません。そもそも、化粧品会社という女性がメインのターゲットになる商品を販売する企業であり、そして販売する側にも女性が圧倒的に多いのです。その女性スタッフが働きやすく、生き生きと働くことができていなくては、社内でも、またお客さまに対しても、説得力はないでしょう。

そして、きちんとダイバーシティが向上するようなことが行えていれば、きっとそれは本業のビジネスにとっても大きなプラスになっていることは容易に想像されます。ダイバーシティはビジネスにとって、きわめて本質的かつ重要なテーマなのです。

だからなのでしょう、ポーラがこのテーマについて語るのは今年が初めてではないようです。昨年もやはり同様の広告を作っています。

続き「日本は発展途上国!?」はこちらから


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足立 直樹
足立 直樹 (あだち・なおき)

サステナブル・ブランド国際会議 サステナビリティ・プロデューサー。株式会社レスポンスアビリティ代表取締役。一般社団法人企業と生物多様性イニシアティブ理事・事務局長。東京大学・同大学院で生態学を学び、博士(理学)。国立環境研究所とマレーシア国立森林研究所(FRIM)で熱帯林の研究に従事した後、独立。2006年にレスポンスアビリティを設立し現在に至る。2008年からは企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)事務局長も兼務。

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