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サステナブル・ブランドの作り方

第9回:サステナビリティを追求することが存在意義!? (上)「なぜ高くても売れるのか?」

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SB-J コラムニスト・足立 直樹

シュイナードは岩を傷つけないクリーン・クライミングを提唱し、衣料メーカー「パタゴニア」を設立 Image credit:derekandnona


先日、日本で初めて開催されたサステナブルブランド国際会議は、大変な盛り上がりを見せました。二日間で延べ1,200名以上の来場者があり、「サステナビリティをブランドに」という考え方に、多くの方が興味をお持ちであることが裏付けられたように思います。

実際に参加なさった方は、どのような感想を持たれたでしょうか。また残念ながら今回は参加できなかった方は、このサステナブル・ブランド・ジャパンにいくつかのセッションを紹介する記事が掲載されています。ぜひそれらをお読みいただき、どのような様子だったか、ご想像いただければと思います。

私自身もこの会議の盛り上がりや発表内容を見て、サステナビリティへの取り組みが、会社の価値を決めるものになって来ているということを、改めて感じました。それだけではありません、その意義を理解した会社が、サステナビリティの取り組みを積極的に話し始めたということも重要だと思います。大きな流れが生じていることを感ぜずにはいられません。

さて、前回も取り上げたパタゴニアは、まさにこのことを体現している会社です。残念ながら今回の会議には登場しませんでしたが、この会社が創立以来、行ってきたのはまさにサステナビリティを追求することだからです。サステナビリティこそが存在意義のような会社と言っていいでしょう。

前回も書いたように、パタゴニアの商品は競合する他のアウトドアブランドに比べて明らかに高価です。もちろん性能的にもデザイン的にもよく考えられているのでしょうが、それにしても、かなり高めの価格で売上を伸ばしているのは驚きです。

それだけでなく世界中にビジネスが拡大しているのです。価格競争に明け暮れている企業からすれば、なんでそんなことが可能なのかと不思議で仕方がないでしょう。

それがまさに、ブランドの強さなのです。そしてパタゴニアのブランドの中核は、言うまでもなく、『サステナビリティ』です。

そもそもパタゴニアは、創設者であるイヴォン・シュイナードの個人的な思いからスタートしています。シュイナードは伝説的なロック・クライマーでもあり、自分でも道具を作って販売するようになりました。

しかし、岩登りの道具で岩が傷つけられるのを見て、これは自分が求めている世界ではないと感じ、岩を傷つけないクリーン・クライミングを提唱し、新たに衣料メーカーとしてパタゴニアを設立したのです。

ですから、「環境に配慮する」「人に配慮する」ということは、パタゴニアの原点であり、行動規範でもあるのです。現在では自社はもちろん、サプライヤーも同様の行動規範に従うことが求められています。

「企業の責任:パタゴニア」

パタゴニアの製品を作ったり販売しているのは、この行動規範を理解し、それに賛同する人々なのです。もちろんユーザーも同様です。

「なぜユーザーが?」と思うかもしれませんが、パタゴニアが掲げたこの考え方にユーザーは賛同し、その規範が守られていることに、ユーザーは安心するのです。だからこそ、多少値段は高くてもパタゴニアを選ぶのでしょう。


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足立 直樹
足立 直樹 (あだち・なおき)

サステナブル・ブランド国際会議 サステナビリティ・プロデューサー。株式会社レスポンスアビリティ代表取締役。一般社団法人企業と生物多様性イニシアティブ理事・事務局長。東京大学・同大学院で生態学を学び、博士(理学)。国立環境研究所とマレーシア国立森林研究所(FRIM)で熱帯林の研究に従事した後、独立。2006年にレスポンスアビリティを設立し現在に至る。2008年からは企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)事務局長も兼務。

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