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遠隔地でマルチメディア教育:バングラディシュ

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トム・アイドル

電力網につながっていないオフグリッド・エリアで暮らすため、教育が十分受けられずにいるバングラディシュの小学生にマルチメディア授業を提供するためのツールが開発された。バックパックに収まるサイズの太陽光発電機を電力源としており、持ち歩きが可能なため、遠隔地でのデジタル授業に役立つ。電力供給があるエリアと、ないエリアとの間の教育格差を埋めようという狙いがある。(翻訳=クローディアー真理)

ツールは、バングラディシュのNPO、ライト・オブ・ホープが開発した「スプートニク」だ。柔軟性があり、折り畳みが可能な太陽光パネルや充電器をはじめ、インターネット接続機器、ブルートゥーススピーカー、プロジェクター、スクリーンがバックパック1つに収まる。

従来こうした機器は80キロにも及ぶ重さがあるが、スプートニクはわずか6キロ。持参してオフグリッド・エリアの子どもたちに授業を行うことができる。また専用ソフトを開発し、低帯域幅でのビデオ通話を通し、1カ所で行われている授業をほかの場所にいる子どもたちに配信する「ライブ授業」を行っている。

ライト・オブ・ホープの創設者の1人、ワイルラ・ブイヤン最高経営責任者には、重い機材を運び、サイクロンの被害を受けた農民の再教育に携わった経験がある。その時、持ち歩き可能なマルチメディアツールを開発し、インタラクティブ形式で教育を行う必要性を痛感。スプートニクを生み出したそうだ。

現在バングラディシュでは、約2万校の小学校が、電力供給に限りがあったりまったくなかったりという遠隔地にあり、質の高い教育を行うことが難しい現実がある。頻発するサイクロンの被害を受け、海岸部では学校すらない状況だ。また国内にある世界最大の難民キャンプでは、ミャンマーからのロヒンギャの子どもたち30万人が教育を受けられずにいる。

地元にある数々のNGOは長年、教育問題を解決しようと取り組んでいる。政府も立ち上がり、2万6000校にマルチメディア専用の教室を設置した。しかしこれはオフグリッド・エリアに住む子どもたちのための支援とはいえない。

ユネスコは、世界的にみて学校に行けない子どもたちの80%が遠隔地に住んでいると指摘する。都市部に住む子どもと、遠隔地に住む子どもとの間の教育格差は広がるばかりという。貧しさから学校をやめ、単純労働者として働かざるを得ない子どもたちは読み書きができない。それが収入の良い職業に就くことへの妨げになっており、貧困や飢餓から脱却できない。教育を受けられないことの連鎖反応で子どもたちの生活は一向に改善しない。

ライト・オブ・ホープはバングラディシュ政府内の賛同者をはじめ、ユニセフ、ユネスコ、NPOのセーブ・ザ・チルドレンやセサミワークショップとパートナーシップを組み、活動を進めている。スプートニク以外にも、世界中の子どもたちに楽しく勉強してもらえるよう、さまざまな製品やサービスを提供している。