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仲買人を排除し、コーヒー生産者の収入が2倍に

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米国サステナブル・ブランド編集部
Image credit: Thrive Farmers

米スライブ・ファーマーズ社(本社・ジョージア州)はコーヒー販売を通して、顧客やコーヒー業界が、生産者と直接的な関係を築くことの重要性を訴えている。同社は、従来のビジネスモデルの問題点であった仲買人を排除。農家は、安定した、今までの2倍以上の収入を得て、将来設計を立てることができるようになった。スライブ・ファーマーズは2017年初旬にBコーポレーション(環境や社会に配慮した事業者)の認定を受けている。(翻訳:クローディア―真理)

現在、コーヒー産業は1000億米ドル(約11兆円)規模といわれ、需要は増加する一方だ。それにもかかわらず、インフレを調整しても、コーヒー農家の収入は25年前より減っている。

変わりやすい市場価格に乗じて価格をコントロールする、複数の仲買人の言うなりになっている生産者は、コーヒー豆を売るだけでは生計を立てることができない。生産者の平均年齢は60歳に近いが、収益が不十分で不安定であるため後継者不足で、コーヒー農家の先行きは暗い。

こうした状況下で、スライブ・ファーマーズと協力関係を結んだのが、長年にわたりコーヒー農家を支援しているルーテル世界救援団(LWR)だ。同団体は世界各国の貧困地域に暮らす家族を支援するNPOで、コーヒー生産者には職業訓練のほか、環境や市況の悪化への備え方、閑散期を利用した多角経営法を教授。コーヒー豆の質の向上、より良い価格を提示するバイヤーとの橋渡しを進めてきた。

スライブ・ファーマーズの協力で、8月には、「ルーテル世界救援団ファーマーズマーケットコーヒー」を販売し始めた。

このブランド導入のおかげで、ニカラグアのヒノテガ県の小さな町の農家が恩恵を被っている。初回の支払い時にはフェアトレード最低価格以上を、さらに年末には1年分の利益の分配金を得ることもできる。

スライブ・ファーマーズは、コーヒーが1ポンド(約450グラム)売れるごとに、LWRに80USセント(約90円)を寄付。生産者の経済安定を図るための支援プログラムに充てられる。

二者のパートナーシップは、コーヒー生産者の経済的安定化を市場の仕組みを変えることで可能にした好事例といえる。消費者も購入の際、注意深くコーヒーを選ぶことで、コーヒー業界のこの変革に直接参加することができる。