サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan のサイトです。ページの先頭です。

サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan のサイト

ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Brands, PBC)

スコットランドの3都市が「廃棄物ゼロ」目指す

  • Twitter
  • Facebook
米国サステナブル・ブランド編集部
Image credit: Get Your Guide

スコットランドは2010年にゼロ・ウェイスト(廃棄物ゼロ)計画、2015年に循環経済戦略を発表し、サーキュラリティー(循環性)のリーダーとして台頭してきた。ブレグジット(英国のEU離脱)によって、産業廃棄物の処理システムへの懸念が高まるなか、スコットランド議会はこのほど、ダンバーとビュート島に続き、パース、リース、中央エジンバラの3都市が第2次「廃棄物ゼロ都市」プロジェクトに選ばれたことを発表した。(翻訳:梅原 洋陽)

2017年のはじめ、英シェフィールド大学はスコットランドがいかにCO2利用市場でグローバルリーダーになり得るかを報告書で明らかにした。さらにスコットランド議会は、サーキュラー・エコノミー(循環型経済)を実現するための新たな基金を発表した。90万ポンド(約1億3000万円)近くの資金が、新たな廃棄物削減と資源の有効活用、そして消費者参加型の取り組みを本格展開するために、3都市で使われることになる。

環境・気候変動・および土地改革担当閣僚であるスコットランド議会のロザンナ・カニンガム議員は、「より多くのものを再利用し、購入した食物を最大限に利用しようとすれば、廃棄物を減らすことができる。スコットランドは2025年までに70%をリサイクル素材か再利用可能にし、食品廃棄物を3分の1に減らす目標に向かって進んでいる」と説明する。

各都市は独自の取り組みを進めている。例えば、中央エジンバラには期間限定の「フードシェアリングショップ」ができたり、パースでは個人や小売業者がリユース商品に簡単にアクセスできるように全市規模の再利用ネットワークを構築したり、リースでは「ゼロ・ウェイスト・ビジネスセンター」を設立したりしている。

ゼロ・ウェイスト・スコットランドのイアン・ガランドCEOは「廃棄物がゼロになり、住民がモノをできるだけ長く使うような循環経済にシフトするうえで、コミュニティーの巻き込みは不可欠だ。コミュニティーは、現実的で持続的な行動変化をもたらす中心にある。この3都市は新しい手段で廃棄物ゼロの取り組みの基礎を築いていくだろう」と期待する。

「廃棄物ゼロ都市」プロジェクトに選ばれたエジンバラ、リース、パースは、オランダやフランス、ドイツ、スペイン、スロベニア、ルーマニアの街を含むヨーロッパ全土、そして世界中の廃棄物ゼロコミュニティーのネットワークの一部を形作って行くこととなる。

「廃棄物ゼロ都市」のイニシアチブは、欧州地域開発基金が資金を提供する「資源効率循環経済促進プログラム」(約100億円規模)の資源効率運用の一環である。

環境コンサルティングを行うチェンジワークスのテレサ・ブレイCEOは「リースの廃棄物ゼロ計画に対して、企業や学校、コミュニティーグループや地域住民などから好意的な反応を受けている。廃棄物ゼロ都市になることは、住むため、働くためのより良い場所を作り、生活の質を改善するための、協働である」と話す。

ビューティフル・パースの議長であるジョン・サマーズOBE(大英帝国勲章第4位)は「我々のボランティアは20年以上にわたって、パースを、住んだり働いたり観光したりするのに見合う活気のある場所にするために取り組んできた。我々はパース大学UHIの審議会やEcoTechnicとともに、新しい『ゼロ・ウェイスト・パース』の共同事業体を先導していることをとても誇りに思い、強い喜びを感じている」と話した。

「私たちは、再利用と修繕の構想や、廃棄物の削減を促進し、今以上のシェアリングやリサイクルを増やし、資源効果を改善しながら循環経済の発達に伴って経済的チャンスを生み出すようなパートナーシップを構築できるのを楽しみにしている。それは、広範囲に渡る社会的、経済的、そして環境上の利益を全ての人にもたらすことになるだろう」と続けた。