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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)

グッド・ライフの鍵となるエシカル・ビジネスと教育

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Jennifer Elks
"How to transform?" Axel Flügel from Unilever Southern Cone discusses circular solutions for packaging during a case talk at SB'17 Buenos Aires | Image credit: SB Buenos Aires

9月末に第3回サステナブル・ブランド国際会議2017ブエノスアイレスが開催された。芸術や金融、教育、大企業、ヘルスケア、都市計画、消費者、アクティビスト・ブランドなどの世界のさまざま組織が、変化する「グッド・ライフ」の定義をどう認識しているかを伝えた。そして、残されている課題も浮き彫りになった。(翻訳:梅原 洋陽)

最初のスピーカーだったジョアン・アントニー・メレ氏の、「ビジネスには分かりやすい道徳性と透明性が必須だ」という認識は大喝采を受けた。スペインにあるトリオドス銀行の副部長であり、トリオドス財団の副会長を務める同氏は、限りない成長など自然には存在しないことを強調した。そして、「持続可能性が問題なのではなく、命の本質を問うべきだ」と訴えた。

同銀行はその政策や透明性からエシカルな銀行の先駆者として知られている。メレ氏が指摘しているように、そもそもエシカルな銀行以外の銀行はあり得ないのではないだろうか。「銀行が変われるのであれば、全ての企業が変われるはずだ」と同氏は話し、「恐れを捨て、よりエシカルなビジネスにシフトすべき」と参加者に呼びかけた。

続いて、英国の独創的なコンサルタント会社nowhereのCEOである、ニック・ユーダル博士が登壇し、「従来のリーダーは将来性の限界に直面している」と述べた。この新しい世界において、脳とエゴに任せて裁判を開いているだけでは不十分だと。これ以上長く、更に頑張って働くことも不可能。私たちは「新しいレベルの創造性、革新性、そして生産性を必要としている」と訴えた。

私たちは組織の運営方法を見直す必要がある。時間的に余裕を持ち、フィードバックを受けられる安心できる環境をチームに取り入れるにはどうすれば良いか。そして、創発性と適応性を高め、目的と情熱を持ち、押しつけるのではなく、ジャンプするような組織を目指すべきだ。鍵となるのは、一定の高いパフォーマンスのサイクルを続けるのではなく、ピークのパフォーマンスをつくっていくことだ。全ての行動や決断が次のステップにスムーズに移っていくのである。リーダーは中心に居座るのではなく、端に避け、ブレイクスルーが起きる余地をつくることが大切になる。

午前中の後半は、Cippecの都市担当ディレクターのガブリエル・ランフランキ氏がスマートでレジリエントな都市の役割について説明した。Cippecは、アルゼンチンの公益政策の公平さと成長度合いを分析する非営利団体だ。同氏は世界中のスマートシティの実例を紹介した。

スマートシティとは、ありとあらゆる課題を総合的かつ協調的に乗り越えていく都市である。ガブリエル氏はアクセンチュアのデジタル・パリ・イニシアティブとダウ・ケミカルによる、アルゼンチンのバイア・ブランカ市の統合的な都市開発計画を引きながら、ブランドがどのように変化をけん引できるかを語った。

求められる教育改革

「コラボレーション」をテーマにしたセッションでは、チリのEducación2020の政策アドバイザーである、ヴォッコ氏が新たな初等教育のモデルを提案した。同氏は、クリティカル・シンキングとコラボレーション・スキルを教育は重視すべきだと考えている。

「世界は変わり続けているのに、教育システムは停滞したままだ。19世紀からずっと同じ教育制度の下で、生徒に何をすべきかを伝え、たった一つの正しい回答を暗記させ、一人で黙々と学ぶスタイルは変わっていない。生徒は一人だけではクリティカル・シンキングスキルは養うことができない。世界の急速な変化に対応する別の教育システムが必要だ」とヴォッコ氏は強調していた。

ヴォッコ氏はコラボレーションと個人化(共通テストではなく)に重きを置いているフィンランドの事例を紹介した。フィンランドはPISA(学習到達度調査)に疑問を持ち、従来の伝統的なクリティカル・シンキング、コミュニケーション、コラボレーション、そして新たなものをつくり出す能力を重視している。

同氏は、教師と生徒の間での知識の共有や、事例の検証をし合う重要性を説いた。また、現実世界の課題を解決することでさまざまな学問を同時に学び、クリティカル・シンキングスキルを育成するプロジェクト学習(PBL: Project Based Learning)を推奨した。