サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan のサイトです。ページの先頭です。

サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan のサイト

ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Brands, PBC)

企業の災害支援:「静かな緊急事態」への対応

  • Twitter
  • Facebook
Monica Marshall
Image credit: July Brenda Gonzales Callapaza

夏は悲劇的な自然災害とともに去っていった。ハービー、イルマ、ホセ、マリア、ネイトと立て続けに起きたハリケーン。メキシコでの2つの地震。北カリフォルニアと南カリフォルニアでの山火事、そして更には数えきれないほどの天災と人災が地球上で起きている。(翻訳:梅原 洋陽).

島や街、コミュニティが想像できないほどに壊滅され、何千人もの人達が全てを失っている、悲しく厳しい時である。

緊急災害時に民間企業と連携して活動する国連の災害支援初期対応チームで働いていた、およそ10年間のことを思い出した。当時の私は、被災地でのニーズを把握し、民間からの支援を素早く的確に届けるために奔走していた。

ここ最近の災害において、多くの企業が発生から数時間のうちに対応できる緊急対応プランを作成し、そしてそれらの活動を拡大していることに勇気づけられている。多くの取り組みがあるが、ここではその一部を紹介する。

アップル:ハリケーンの被害者に1000万ドルを支援
バドワイザー:ハリケーンハービーのテキサスにいる被害者に水を届けるために、ビールの製造を即座に中止
ジェットブルー:プエルトリコのハリケーン被害のために、100x35 programを展開。支援物資の空輸、災害者割引、募金の呼びかけ、災害支援チームの派遣などを行う
P&G:被災者の衣服を洗濯する “Tide Loads of Hope”を派遣
テスラ:ソーラーを用いて電気システムを復旧する計画をプエルトリコ政府と討議
Visa: NFLのキックオフゲームにおいて、自社の宣伝の時間をハリケーンハービーの支援のために使用した
ワッフル・ハウス:災害時の中でもお店を開け続け、他の州からマネージャーが”ジャンプ・チーム”を結成し、ワッフルを作り続けられる体制を維持した
(ワッフル・ハウスの災害対策は入念であり、アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁(FEMA)がワッフル・ハウス指数という災害の程度を非公式に測るものまである)
ウォルマート:3000万ドルを支援し、1000台の災害用トラックを被災地に送り込んだ

書ききれないほどの企業からの支援がありがたいことにある。プエルトリコやその他の被災地は企業から大量の物資を受け取り、インフラを再整備するために必要な電力や水道などの支援を受けている。

静かな緊急事態に目を向ける

必要な救援物資を迅速に届けること以外に、企業に考えてもらいたいことに、「静かな緊急事態(Silent Emergency)」と国連が呼ぶものがある。

ルイジアナ州の洪水や、シエラレオネの土砂崩れ、スーダンの長期的干ばつ、そして貧困のために学校にいけない子どもたち。メディアには取り上げられていないが、同様に深刻な緊急事態が常に存在している。注目されず、取り上げられないために、必要な支援が集まらない。この状況が変わってほしいと願っている。

数多くの研究で、従業員と消費者が企業に純粋に社会的課題や環境問題に取り組んでほしいと望んでいることが分かっている。企業が人々やコミュニティを支援することに徹していることを伝えるのに、静かな緊急事態を援助することは非常に有意義なはずだ。自然災害と人間が生み出す災害は残念なことに増えていく一方だ。

そのため、企業の資源を従業員と消費者の所在地と感心に合わせて配分することは長期的な信頼とロイヤルティを築くことにつながる。さらに、企業が展開するコミュニティをより深く知ることで、ステイクホルダーのニーズを予測しやすくなり、解決策を提案することができるようになる。

企業は、自社のマーケットに軸を置いた解決策を講じることもできる。例えば、マスターカードは国際連合世界食糧計画(WFP)と連携して、発展途上国の政府の役人に子どもの教育に投資することで得られるリターンについて教育している。WFPは学校での給食に1ドルを使うことで、その国が8ドル受け取れるモデルを準備している。

この夏の多くの災害を通して、災害はそう遠いものではなくなってきた。

世界中で発生している静かな緊急事態を支援する方法はいくつかある。

・ 自社が展開している、もしくは今後展開する国々でどのように災害準備や災害支援を展開できるかを赤十字や国際赤十字に相談する
・ 世界中にいる従業員にどのように自分のコミュニティを支援したいか尋ねる
・ 国連から災害基金が十分ではない領域を学ぶ

災害が発生した際に事業を止めるのは容易ではなく、再開を支援に頼るのは難しい。

初期の時点で、1億5700万ドルがハービーとイルマの支援に集まり、メキシコや、プエルトルコ、そしてその他の被災地域にも支援が今も寄せられている。

企業の支援は災害時には不可欠だ。企業にとっても、ビジネスに影響を及ぼし、支援が求められるこうした緊急事態を支援することは重要な意味を待つ。