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欧州自動車メーカー、ディーゼル車の廃車促進

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米国サステナブル・ブランド編集部
Image credit: Burak Kebapci

政府の大気汚染や排気ガスの規制強化を見込んで、英国や欧州の自動車メーカーは環境に配慮していない自動車を道路から減らす廃車プログラムを盛んに導入している。(翻訳:梅原 洋陽)

2016年に、英国政府からの要請を受けて、この数週間でフォード、トヨタ、キア、日産、BMW、メルセデスベンツ、ボクスホール、ルノーはそれぞれのより環境に優しい車への乗り換えプログラムを発表した。

ボクスホールは2017年5月、英国の主要自動車メーカーとして初めてディーゼル車の廃車プログラムを発表した。このプログラムは、ボクスホールの新車を購入すると2000ポンド(約29万円)を支給するものだったが、6月末までという短期間で終了した。

排気ガスの削減のために、ロンドン市内で積極的な取り組み(ロンドン交通局と連携しプラグインハイブリッドカーを発売)をしてきたフォードも同様のプログラムを打ち出している。2009年以前に登録されたディーゼル車もしくはガソリン車を持ち込むと、新しいモデルへの買い替えのために2000ポンド(約29万円)を支給する。フォードによると、どの自動車メーカーの車でも良いということだ。

「フォードは社会の大気汚染に関する懸念を深刻に受け止めています。空気を最も汚している車を除去することは大気環境を改善する最速の方法です。フォードの廃車プログラムはこのためだけに展開されています。新車の購入を奨励するだけでは不十分です。持ち込まれた古い車を確実にスクラップすることも大切です。そうすることで、何百、何千もの最も汚れを生み出す車を道路や街から追放することができます」とフォード会長のアンディ・バレット氏は話している。

BMWは2005年以前に登録されたBMWとミニの所有者にBMW i3かCO2排出量が130g/kmi(ガソリン燃費換算で17.8km/L)以下のEuro 6(EUの大気汚染物質排出規制値)を満たす車の購入に対して1800ポンド(約27万円)を支給している。メルセデスベンツは、Euro1からEuro4基準の車を持ち込むことで、電気自動車を含む新しい車の価格から2000ポンドを割り引くサービスを実施している。

日産とトヨタの戦略がドライバー達には最も魅力的かもしれない。日産の切り替えプログラムは新型リーフの購入者に下取り金額に加えて2000ポンドを提供する。そして、日産の全ての自動車に対しても最大で5000ポンド(約74万円)の乗り換えのインセンティブ、中古のリーフ24kWhにも2000ポンド(約29万円)を用意している。

同様に、トヨタはアイゴからランドクルーザー、そして商業車両を含む全てのモデルを対象にプログラムを展開している。同プログラムは7年以上前の全てのメーカーの、全てのモデルに下取りインセンティブを提供する。下取り額は購入するトヨタのモデルにより異なり、プリウスは2000ポンド(約29万円)、ランドクルーザーは4000ポンド(約59万円)、C-HRとC-HRハイブリッドは1000ポンド(約14蔓延)で下取りされる。

排ガス不正疑惑で避難の的となっているルノーは、割り引きと2000ドル(約29万円)のインセンティブを提供し、キアはキア・ピカントとキア・リオに対して同じく2000ドルの割り引きを用意している。

英国や欧州政府はようやくディーゼル燃料が環境や人類の健康に与える影響を認識し始めているが、問題に真剣に取り組んでいるとは言い難い。それゆえ、産業界が中心となりディーゼル車を無くし、未来の排気ガス問題に向けての取り組みの一歩目として、廃車プログラムは有効だろう。

「自動車業界はディーゼルが私たちの肺や企業のイメージに与えている影響にようやく気がつき始めたようです」と環境法専門の英 NGO「ClientEarth」の弁護士であるアナ・ヘスロップ氏は近年の廃車プログラムに関してコメントした。

同氏は「私たちに必要なのは、考え抜いた一貫性のある、人々をよりクリーンでサステナブルなテクノロジーにシフトさせる政府の政策です。現時点では小規模の短期的な政策が点在していますが、問題を解決するためには連携が不可欠です」と述べている。