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第5回CtoCデザインチャレンジの受賞作品とは

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米国サステナブル・ブランド編集部
Image credit: MyEcoWall


環境認証「クレイドル・トゥ・クレイドル(CtoC:ゆりかごからゆりかごへ)認証」プロダクトイノベーション研究所は6月、「第5回CtoCプロダクトデザインチャンレンジ」コンテストの受賞者を発表した。(翻訳:寺町 幸枝)

米ベンチャー企業のエコベイティブ・デザインが製造したキノコの菌糸体でできた移動可能な防音壁「MyEcoWall(マイ・エコ・ウォール)」や、子どもの成長に合わせてサイズが大きくなる子ども用レインコート「Scout(スカウト)」などが選ばれた。

このコンテストは、第1シリーズとして全6回の開催を予定しており、今回は5回目となる。CtoC認証製品のデザイン基準を用いて、デザイン業界に、製品デザインを通して循環経済を実現するためのきっかけと影響を与える狙いで開催されている。

CtoC認証プロダクトイノベーション研究所の共同創立者であり、「サステイナブルなものづくり―ゆりかごからゆりかごへ」の著者でもあるウィリアム・マクダナー氏は、「CtoC認証の規定は、循環経済を実現するための素材や製品に関する認証であり、品質基準である」とし、このコンテストは「デザイナーや学生にとって、CtoC認証や循環経済を実現するためのデザイン原則を知るための機会であり、次世代のCtoC製品を生み出すことを目指し、認証のついた高品質な素材を試行錯誤して利用することで、循環経済を進化させるための機会でもある」と語っている。

これまでに、このコンテストには、30カ国406人のデザイナーから、466作品以上の応募があった。この5回目のチャレンジでは、17カ国141人のデザイナーから94作品の応募があった。ここでは上位5作品を紹介する。

マイ・エコ・ウォール(MyEcoWall)

学生プロジェクト部門とアルミニウム使用部門で最優秀賞を獲得したマイ・エコ・ウォールは、スペイン・バルセロナにあるEINAデザイン&アート大学のカタリナ・ヴィアナ氏とフェラン・ゲザ氏のデザインした製品だ。この防音効果のあるマイ・エコ・ウォールを活用することで、働く人たちは自由自在にワーキングスペースを作ることができる。

マイ・エコ・ウォールは、購入だけでなくレンタルも可能だ。さらに、1枚から交換することが可能だ。廃棄する必要もなく、リサイクルして使えるのだ。実際に、アルミニウムでできているパーツは再利用でき、バイオロジカルなパーツは再利用でき、肥料として土に返すことができる。

プラノチェアー(Plano Chair)

プロフェショナルプロジェクト部門で最優秀賞を受賞したオランダ・ユトレヒトのデザイナーのブロンデス・エン・ムース氏は、一枚のリサイクルポリプロピレンシートからつくった椅子「プラノチェアー」を発表した。折り紙の発想から生まれたというこの椅子は、一枚の平らな素材だけを使用してできたものだ。

また素材は再生利用が可能だ。このプロジェクトを率いたミヒャエル・ムース氏は、「廃棄物のさらなる削減には、切れ端をできる限り少なくする必要がある。これにより、素材のロスをほぼ無くせる」と話した。

シェイビング・ザ・ワールド(S(h)aving the World)

毎年20億枚のカミソリがゴミとして廃棄されている。その対策として、米ロチェスター工科大学の工学部に所属するダニエル・ロロ氏とモルガン・ミスティサイン氏は、CtoC製品のデザイン理念を取り入れ、100%再生利用可能なカミソリ「シェイビング・ザ・ワールド」を生み出した。この製品はさらに、水の使用量も通常よりも少なくて済むという。

ループ・サプライ・メデューサ・スプール(LOOP Supply Medusa Spool)

もっとも低価格で、一般的な3Dプリンター用素材のポリマーワイヤーコイルは糸巻き状で収納されている。しかし、収納する器具はとても重く大きくて、往々にしてリサイクルできない。しかし、BASFのエコフレックスで作られたこの収納器具は、これまでのものに比べて80%も軽い。この器具は折りたたむことが可能なため、使用後にサプライヤーへ返送することができる。再利用もできて、土に反すことも可能だ。

スカウト・レイン・コート(Scout Rain Jacket)

CtoC認証素材使用部門で最優秀賞を受賞したのは、子ども用レインコート「スカウト」を開発した米サヴァンナ芸術工科大学の4人の学生たちだ。このレインコートは、縦にも横にも伸縮可能で、レインコートも子どもの成長に合わせて「成長」するというものだ。そのため製品のライフサイクルが長く、廃棄物を削減することが可能だ。

なおウィリアム・マクダナー氏は、最優秀CtoC認証素材使用賞を受賞したデザイナーに専門的なコメントとデザインに関する批評を行った。

CtoCプロダクトイノベーション研究所のルイス・パーキンズ氏は、「今回のコンテストでも世界中から多くの応募があった。これは、廃棄するという考えを捨て、すでにあるものを使い、製品をデザインしつくろうとする試みが広がっていることを意味している」と今回の評価を語った。

そして「今回の受賞者が示しているように、このコンペはデザイナーや学生たちに革新的な課題解決策を考える機会を与えているといえる。このような形で、次世代に教え、鼓舞し、背中を押すことができることを誇りに思う」と続けた。

次回の第6回CtoCプロダクト・デザイン・チャレンジの受付は、2017年9月に始まる。