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従業員エンゲージメントを高める3つの方法

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メグ・ニューマン=米キューリグ・グリーン・マウンテンCHRO
Image Credit: Keurig Green Mountain

従業員エンゲージメントは近年注目を集めており、大小さまざまな企業が従業員をやる気にさせ、生産性を高めるためのプログラムを開発している。PR・マーケティングコンサルティング会社の米コーン・コミュニケーションズの調査によると、74%の回答者は社会に良い影響を与える機会が職場で与えられると、仕事がより充実したものになると答えた。近年、サステナビリティに重点を置いた取り組みに携わりたいと考える従業員の声は高まっている。(翻訳:梅原 洋陽)

コーヒー事業を手掛ける米キューリグ・グリーン・マウンテンは、従業員が事業を通して良い変化を起こせる機会を会社が与えることは、従業員の充実感を高めるだけでなく、同社のミッションである「Brew a Better World (より良い世界をつくる)」を加速させていく上でも重要だと考えてきた。

同社は2016年度のサステナビリティ・レポートで、全ての従業員がビジョンと価値を理解し、その目標に向けて行動するための機会を提供することを宣言した。2016年度は、70%の従業員が何かしらのサステナビリティ・プログラムに参加している。

目標を達成するための主要なプログラムは「コミュニティ・アクション・フォー・エンプロイーズ(Community Action for Employees :CAFE)」という地域でのボランティアプログラムだ。CAFEプログラムでは、全ての正社員に1年間で52時間までの有給ボランティア休暇を与えている。

昨年度は、従業員は56000時間を川の清掃やフードバンクでの食べ物の配布等のさまざまなボランティア活動に費やした。一般的な会社の有給ボランティア休暇の利用者は30%であるのに対し、キューリグでは全従業員の55%がボランティアプログラムに参加している。

もう一つ、従業員が自社に貢献するためのプログラムとして、1992年から年に一度、従業員を事業の根幹である世界中のコーヒー農園に連れて行くようにしている。

コスタリカからブラジルまで、従業員が事業が与える影響を理解し、自分の目でコーヒー豆がどこから来るのかを確認し、そしてサプライチェーンの川上にいる人たちとの繋がりを持てる機会をつくっている。過去20年間にわたり、さまざまな部署や場所で働く多様な地位の従業員が500人以上このプログラムに参加してきた。

キューリグがサステナビリティ・プログラムを従業員エンゲージメント・プログラムに取り入れてきた過程で分かってきた重要な点が3つある。

1.バリューを念頭に置いて雇用する

社会的責任はキューリグにとって基盤であり、従業員はそのことを心から理解している。

キューリグのバリューや目標は、従業員がそれらを理解し実行することによって長い年月をかけて形成されてきた。誰を雇用し、どのようなプログラムを提供するかは事業の基盤となるバリューに基づいて決定されている。そして、そのバリューは従業員が日々の業務で指針にしているものである。

従業員をコーヒー農園に連れていくといった取り組みによって、従業員はバリューがどのように形として表れているかを体感することができ、自らの仕事にさらにやりがいを感じてくれる。そして、彼らのやる気は企業やコミュニティに変革をもたらしてくれる。

2.情熱を探求する機会を与える

キューリグでは、従業員がどこでCAFEの時間を使うかを自由に決められるようにしている。川の清掃のような会社全体のボランティア活動をする機会も提供しているが、従業員それぞれにとって最も有意義な方法でコミュニティへ貢献することを推奨している。ある従業員は地元の教育委員会でボランティアをするだろうし、他の従業員はフートバンクで食べ物の仕分けをしたりする。それぞれの情熱に従って活動をすることを勧めている。

3.サステナビリティをCSR部門だけに留めておかない

サステナビリティはある特定の部門が専門にすべきではない。マーケティングから財務にいたるまで会社の全ての部門がより良い環境をつくり、社会変革することに関われるはずだ。全ての部門の従業員に、仕事やコミュニティに良い影響を与える有給ボランティア休暇のような機会を与えることが組織内のポジティブな連鎖反応を引き起こすのだ。

キューリグは強固なサプライチェーン、サステナブルな製品、そして健全なコミュニティを作り上げる活動に従業員を巻き込んできた経験がある。サステナビリティはビジネスの成功にますます必要な要素になってきている。他の企業がどのようにそれぞれの独自の文化を企業のプログラムに反映させていくのかは大変興味深い。