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ユニリーバと国連、性差別の撤廃目指し広告改革で協働

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米国サステナブル・ブランド編集部
Image Credit: Unilever
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ユニリーバは近年、サステナビリティの推進だけでなく、性差別の撤廃においても他社をリードする動きを見せている。日用品大手の同社は国連ウィメンと協働し、広告や人気商品の情報から固定化された性別の描写を排除する世界的な連携「アンステレオタイプ・アライアンス」を新たに立ち上げた。(翻訳:梅原 洋陽)

この試みは、ビジネス界やテクノロジー業界、クリエイティブ産業のリーダーたちが横断的に結束し、広告の影響力で広がる性別の固定観念を無くしていこうとするものだ。6月22日、最初の会議がカンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバルで開催された。そこでは、今後の戦略や広告を通してどのように固定化された従来の価値観を前向きに変化させていけるか、現実的で偏りのない男性と女性の姿を描写していけば良いのかが話し合われた。

ユニリーバと国連ウィメンが立ち上げたこの連携に加わる団体は、フェイスブックやグーグル、ツイッター、マイクロソフト、アリババ、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)、プロクター・アンド・ギャンブ(P&G)や世界広告主連盟などである。

国連ウィメンのムランボ・ヌクカ事務局長は、「女性らしさや男性らしさという根強い考えが固定観念を生み出しています。女性や少女の否定的で偏ったイメージは男女平等の最大の障害であり、そうしたイメージが出てくるたびに私たちは認識を変えていく必要があります。広告というものは、認識を変化させ社会規範に影響を与える大きな力を持っています。国連ウィメンは、先進的な企業との連携で、女性の描かれ方が変わり、より良い方向に前進することを期待しています」と話した。

ユニリーバのキース・ウィードCMOは、性別の固定観念を変えていくことは単なる道徳感や倫理観の問題にとどまらないとし、進歩的な広告は効果的でより良いブランド影響力も与えると考えている。

実際に、最近のユニリーバの調査もこの点を繰り返し強調している。調査に参加した40%の女性は、ほぼ全ての広告に描かれている女性像と実際の自分自身とは異なっていると回答した。さらに、さまざまな国や異なるブランドの広告を分析したところ、50%の広告は否定的か時代遅れの女性像を映し出しており、女性を賢く、または面白いとして表現しているものはたったの3%だった。

一方でボディケアブランドのダヴが行ったキャンペーン#MyBeautyMySay(等身大の女性達が自分の美しさは自分自身で決めるというストーリーを特集した)や男性化粧品ブランドアックスの#IsItOkForGuys(72%の男性が男性としてどのように振る舞うべきかを告げられた経験があるという研究の結果を参考に、グーグルで男性達が調べた実際の質問を紹介した:「男はピンクを着ても良いのか等」)のようなキャンペーンはユニリーバの消費者基盤からは好意的に受け入れられている。

「広告業界は確実に前進しているがまだ十分だとは言えません。私たちの仕事は、価値が損なわれていたり、偏った女性像や男性像を扱う広告が無くなるまでは終わることはありません。私たちはステレオタイプ的ではない姿勢を広めるために知識や取り組み方を共有しながら、異業種の仲間たちと新たな連携のあり方を創り出していきたいです。業種や分野を超えた連携は持続的な転換を引き起こしていくと信じています」とユニリーバのキース・ウィードCMOは話す。

アンステレオタイプ・アライアンスは、ユニリーバが全ブランドで固定化された性の描写を用いた広告を行わないという世界的な目標を定めたアンステレオタイプ構想の開始から1年後に始まった。

ユニリーバのグローバルマーケティング本部長のアリーン・サントス氏は、「これは性別の固定観念を無くしていくためのとても重要なステップです。連携している全ての企業・団体はそれぞれが大変重要な活動を行なってきました。これからは、この動きを拡大するために一致団結していくことが必要です。性別の固定観念を無くしていくことは一部のブランドだけではなく、全てのブランドで取り組まれるべきです」と語った。