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米と欧州、二極化するエネルギー政策

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米国サステナブル・ブランド編集部
Karsten Würth

米国と欧州のエネルギー政策が二極化している。パリ協定が掲げる二酸化炭素排出量の削減などの目標を達成するには、大幅な自然ネルギーへの切り替えが必要となる。

トランプ大統領がカナダからメキシコ湾に原油を運ぶパイプラインの建設など化石燃料事業をさかんに推進しているが、現在、欧州では低炭素社会を目指す取り組みが進んでいる。

テネット社などオランダとデンマーク、ドイツの送電会社3社は3月23日、新たに協定を結んだことで、欧州は自然エネルギー社会構築のために大きな一歩を踏み出した。

3社は、北海に100ギガワット規模の洋上風力の発電拠点を建設する予定だ。ここがこれから建設される何千もの洋上風力タービンの連結拠点となって、欧州の低炭素エネルギー社会への移行は加速化するだろう。

建設地は、風量の多さや浅瀬であることなどから、北海のドッガーバンクが候補地に挙げられている。現在、このドッガーバンクでは。欧州で使用されている洋上風力発電エネルギーの72%が発電されている。

テネットのメル・クルーンCEOは、「デンマークの国有企業エナジーネットと協働することにより、近隣国の送電会社やその他のインフラ関連企業もイニシアチブに参加しようという動きになるのではないか。最終的な目標は、企業間の確固たる連携を築き、欧州における自然エネルギーへの転換の動きをスムーズに進めていくことだ」と語っている。

エネジーネットのトーベン・ニールセンCTOは、「北海の中心にいくつかの人工島を造るというのはまるでSFのような計画だが、北海沿岸の国々には、将来的な自然エネルギーへの需要を賄うことのできる効率的な話だ」と話す。

北海に建設予定の発電所では、風力タービンの操業を行い、整備士も常駐させる予定で、ベルギーやデンマーク、ドイツ、オランダ、ノルウェー、イギリスなどの北海沿岸の国々に送電するための連結拠点となる。ここでは、7万から10万メガワット級の大規模風力発電が実現できる可能性を秘めている。この計画にかかる費用はまだ分かっていないが、15億ユーロは超すと見られている。

テネットは現在、北海送電会社(TSO)や他のインフラ企業などの協業する可能性がある企業と交渉を進め、北海洋上風力発電プロジェクトの実現に向けてコンソーシアムの立ち上げを目指している。「北海沿岸の電力関係の会社に興味を持ってもらい、積極的にこの事業に参加して欲しい」とエナジーネットの広報担当者は話した。

(編集・翻訳=小松 遥香)