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アップルやソニー、コバルト調達から児童労働を排除へ

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米国サステナブル・ブランド編集部
コンゴの市場でコバルトを運ぶ少年( Michael Robinson Chavez/The Washington Post)

コバルト調達に関する新たなイニシアティブが立ち上がっている。スマートフォンや電気自動車に使われているコバルトは、紛争鉱物に指定されてはいないものの児童労働が問題視されてきた。

アップルやサムソンSDI、ヒューレット・パッカード、ソニーは「責任あるコバルト調達のためのイニシアティブ」に参加している。同イニシアティブは、経済協力開発機構(OECD)の鉱物ガイダンスに則り調達することを約束するものだ。サプライチェーンの透明化と迅速な不正防止を求めている。

この動きとは別に、電子業界のCSRアライアンスであるEICC(Electronic Industry Citizenship Coalition)も新たな「責任ある原料調達イニシアティブ」を発表した。どちらもコバルトの調達過程における児童労働などの不正を排除するための取り組みだ。

コバルトの採掘は多くの危険が伴うだ。世界のコバルトの約60%はコンゴで産出されているが、コバルトを手彫りで採掘するコンゴの労働者の日給は2ドルしかない。世界中の多くの企業がサプライチェーンでこうした問題を抱えている。

中国のビジネス界をけん引する中国五鉱化工進出口商工会(CCCMC)も「責任あるコバルト調達のためのイニシアティブ」に参加している。多くの企業が中国にサプライチェーンを持っていることを考えると、CCCMCの参加は大きな意味を持つ。

中国からは他にも鉱物精錬企業などが参加している。そのなかの一社で調達を担当するブライス・リー氏は、ワシントンポストの取材に対して、「この問題は一社では解決できない。こうして多くの企業が参加することは素晴らしいことだ。中国の産業界がこうしたイニシアティブに積極的に参加することはめったにない」と話した。

イニシアティブに参加する企業は、コンゴ政府とも協力していくという。さらにテスラやLG化学などが参加しており、今後の進捗に期待できる。

EICCは、企業はドッド・フランク法で定められているスズやタングステン、タンタル、金といった従来の紛争鉱物以外のものにも目を向けなければならないと忠告する。コンゴでは、コバルトもあらゆる問題の原因になっているのだ。EICCの新たなイニシアティブには、アップルやデル、ソニー、グーグル、フォードなど19社が参加を表明している。

そのほかに、第三者認証を模索する企業もある。ブリュッセルに本拠地を置く非鉄金属会社ユミコアは、監査法人プライスウォーターハウスクーパース(PwC)にコバルトの調達を監視するよう依頼すると発表している。

(編集・翻訳:オルタナ編集部=小松遥香)