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ティファニーが追求するサステナビリティと調達課題

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米国サステナブル・ブランド編集部

米宝飾品大手ティファニーが今年8月に発表したサステナビリティ・レポートでは、CSRの進捗や環境保護活動、ダイヤモンドをはじめとする原材料の採掘環境や関連する社会問題への同社の取り組みについて報告されている。(翻訳・編集:オルタナ編集部=小松遥香)

フレデリック・キュメナルCEOは、「長きにわたり環境と人への責任を果たしてきたと自負している。高級ブランドのなかでもサステナビリティに関して世界トップレベルの対応をとっていると言えるのは、世界に与える影響と責任を真摯に受け止めているからだ」と話す。

新たな目標としては、2050年までに温室効果ガスの排出量をゼロにすることや段階的に自然エネルギーに移行することなどを掲げている。

これは、各界の指導者たちに低炭素経済への移行を薦めるThe B Teamと呼ばれるビジネスリーダーチームが立ち上げた世界的なイニシアティブの一環だ。

The B Teamは短期的利益を追求するプランAではなく、利益を追求しながらも人や地球にやさしいビジネス「プランB」を実行するビジネスリーダーの集まりだ。ノルウェーのグロ・ハーレム・ブルントラント元首相・WHO事務局長やヴァージンレコードの創業者リチャード・ブランソン氏、ムハマド・ユヌス氏などが名を連ねる。

さらに、同社は2020年までに主要サプライチェーンから森林破壊をなくす方針を掲げている。ティファニーブルーのパッケージやカタログなどは、レインフォレスト・アライアンスの協力を得て、サステナブルな森林管理が行われている木材や再生紙で製造するよう取り組んでいる。

調達方針と課題

レポートではダイヤモンドなどの鉱物の責任ある調達についても取り上げており、サプライチェーンの管理を強化していく方針だ。また、米NPO世界野生生物違法取引防止連合(World Wildlife Trafficking Alliance)に加入し、サンゴや象牙などの違法製品をサプライチェーンから排除する取り組みにも力を入れている。

同社は2014年、NPOアースワーク(ワシントンD.C.)の「No Dirty Gold」キャンペーンの規則に従い、金のサプライチェーンの調査や、調達基準の見直し、リサイクルした金の含有量を増やすなどに誓約した。ティファニーは現在、調達する99%の貴金属原料について採掘場またはリサイクル業者に入手経路を直接確認するようにしている。

キンバリー・プロセス証明制度の問題

ティファニーでは、未加工ダイヤモンドの採掘場やサプライヤーはすべて把握していると言う。調達は、紛争ダイヤモンドの輸出を規制するキンバリー・プロセス証明制度に加盟している国々から行っている。

同制度に加盟しているのは54の国と地域で、世界のダイヤモンド生産量の99.8%を占めている。この制度によってダイヤモンドが資金源となる紛争が減少したのは事実だ。しかしティファニーは、同制度はサプライチェーン上の問題に十分に対応できておらず、「コンフリクトフリー」の定義を見直す必要があると主張する。

ジンバブエとアンゴラはその一例だ。どちらの国もキンバリー・プロセス証明制度に参加しているにも関わらず、サプライチェーン全体で人権侵害が報告されている。ティファニーは、未加工のダイヤモンドであれ研磨されたダイヤモンドであれ、両国からの購入を拒否している。

さらに、同社はダイヤモンドの産地保証協定(Diamond Source Warranty Protocol)を実施している。同協定では、ダイヤモンドを販売する会社は、枠に入る前の研磨済みダイヤモンドを両国から購入していないと証明しなければならない。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのビジネスと人権の責任者は「キンバリー・プロセス証明制度にはこうした問題があるため、ティファニーをはじめ企業は自社で調達基準を設けている。ティファニーはサプライチェーンを管理し、メディアから叩かれないよう、同制度の問題を公表することで、同業他社よりも一歩先を進んでいる」とサステナビリティ・レポートで話している。

その他の宝石の調達に関して、同社はダイヤモンドや貴金属と同レベルのトレーサビリティは保てていないと認めており、透明性と責任ある調達を実施するために調査を行っていると説明している。