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地理的要因に左右される世界のサステナブル目標

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Jim Ormond
ローカルな視点がグローバル課題の解決には必要だ(ベトナム・ハノイ)©HarukaKomatsu

パリ協定から1年、モロッコで国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP22)が開かれた。COP1がベルリンで開かれてから22年がたった。COP22は、現状で私たちがプラネタリーバウンダリー(人類が生存できる範囲の限界)でこれからも生き続けるためにできる最大の試みと言える。(翻訳・編集:オルタナ編集部=小松遥香)

これから1年間で開かれる国際会議でも、新たなプラネタリーバウンダリーと社会的限界点を探すための対策が進められる。キプロスでは生物多様性の国際会議が開催され、スウェーデンでグローバルヘルス、アメリカでは大気汚染、イタリアでは食糧安全保障、1月にはスイスで世界経済フォーラムが開催される。

地理的観点から考える、サステナビリティ課題

国際会議がどこで開催されるかは重要だ。地球規模の持続可能性への取り組みには、グローバルな解決策が求められる。しかし、実際には、それぞれの地域で異なるサステナビリティ課題がある。そうした背景を理解するためにも地理は重要な要素となる。

プラネタリーバウンダリーや社会的限界点の課題を考えると、地域によってサステナビリティの課題が異なることが分かる。

・ 生物多様性
豊かな生物多様性があり、多くの絶滅危惧種が生息しているホットスポットは地球上に35ある。そのほとんどが熱帯地域に属し、面積は地球の2.3%しかない。ホットスポットには世界の固有植物の50%、陸生脊椎動物の42%が生息している。

・ 水
世界の農業の25%は深刻な水不足を抱えるインドや南ヨーロッパ、東アジアなどの地域に集中している。

・ 大気汚染
大気汚染に関連する死亡数の約60%は、東南アジアと大西洋で発生している。

・ 食糧の入手
最も飢餓に苦しんでいる25カ国のうち16カ国は、サハラ以南のアフリカ地域だ。

地域的観点から考える、企業のサステナビリティ

最近の研究で、各企業が掲げるサステナビリティ目標は、企業の所在国や地域によって違うことが分かった。サステナビリティ目標を掲げる220のグローバル企業を調査し、共通して見つけた特徴がある。

・ 欧州
欧州の企業は、他の地域よりも男女平等に関する目標をより多く掲げている。
世界平均が22%のところ、ヨーロッパの企業では38%が男女平等に関する目標を掲げている。

・ アジア太平洋
水に関する目標を掲げるアジア太平洋地域の企業の数は、他の地域に比べ少ない。
アジア太平洋地域では17%で、世界平均は37%だ。

・ 北米
北米企業は、教育支援に関する目標を掲げる割合が他の地域より高い。北米企業では9%、世界平均は7%だ。

・ アフリカ
アフリカ企業でエネルギー削減や二酸化炭素の削減などを目標に掲げる数は少なく、多くが社会的平等に関する目標を掲げている。世界平均では14%だが、アフリカ企業は22%だ。

グローバル目標の解決はローカル目線で

つまり、サステナビリティ目標を決める際、目標が制定される地理や地域の特徴や課題を考えなければならないということだ。

例えば、エネルギー消費量の削減は、石炭を使用している国の方が再生エネルギーを使用している国よりも重要視している。水に関する目標は世界的に取り組むべきものだが、水不足の国にはより重要となる。生物多様性に関する目標については、生物多様性に配慮しなければならない地域をサプライチェーンで利用している場合、配慮が必要だ。

国際会議に参加する各国の代表者に伝えたいのは、グローバルな課題の解決にはローカルな目線を持つことが大切だということだ。