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キャンベルも投資する、ICTを活用した新たな食ビジネス

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米国サステナブル・ブランド編集部

ハビットはその人の体調や代謝、目標をもとに必要な栄養を考え、その人に合った新鮮な食事を宅配する


ハビット(米カリフォルニア)は、個人の健康状態に適した食事を宅配するスタートアップだ。栄養学とテクノロジー、デリバリーサービスを組み合わせた事業を行い、本格的なサービスは2017年1月から始まる。

同社は、オーガニックベビーフードを販売するプラム・オーガニック(米カリフォルニア)創始者のニール・グリマーCEOが立ち上げた。

ハビットの特徴は、マンツーマンのコーチング方式で、体に合った適切な食事を提供し、利用者が目標とする健康状態になれるようサポートすることだ。そのために、それぞれの体調や代謝、目標をもとに必要な栄養を考え、その人に合った新鮮な食事を宅配する。

グリマー氏がハビットを始めようと思ったきっかけは、2年前に身体を悪くしたことにある。

「トライアスロンをしていて外見は健康そうだったが、お医者さんにこのままでは危ないと指摘された。その時、体に必要な栄養分を知るために、色々と高いDNAや血液の検査を行った。でも、もっとシンプルで利用しやすい方法があるのではないかと考えた。こうなりたいと思う健康状態になるために体が本当に必要としているものを知る方法は他にもあるはずだと思った」と同氏は話す。


同社には、栄養学者やヘルスアドバイザー、研究者、技術者、管理栄養士、シェフ、食品科学者やビジネスリーダなど多彩なメンバーが揃っている。

身の回りにある様々なものがどんどんパーソナライズされているのに、栄養については、まだ多くの人がそれぞれに合ったものを探そうとしていない。ハビットの考えるそれぞれに合った栄養の取り方は、目指す健康状態になるために身体が必要なものを科学的に分析していくものだ。

ハビットの利用方法

健康状態や目標などを分析して体に合った食事を提供する

まず、自宅で簡単にできる血液検査を使い、60を超える遺伝子マーカーを測定する。薬への反応やミルクシェイクなどの飲み物にどう遺伝子マーカーが反応するかを調べる。それぞれの人のDNAの遺伝的変異についても検査する。その他には、体重や身長、ウエストのサイズ、目標とする健康状態なども調べる。こうして、どんな食べ物や栄養がその人の体に必要なのかを決めるのだ。同社は現在、一連の検査方法の特許を出願している。

検査結果を基に、サービス利用者を7つのカテゴリーに振り分ける。例えば、たんぱく質をもっと取る必要がある人で、一日にどれだけの炭水化物や脂肪、たんぱく質を摂取すべきタイプなのかなどに分けるのだ。カテゴリーに応じて、管理栄養士と電話で30分ほど話しながらカウンセリングを受ける。オプションで、約12ドルから15ドル支払い、カテゴリーに合う食事を家まで届けて貰うことも可能だ。

血液検査キットなども含めて初期費用に299ドルはかかるため、ハビットは本当に新鮮で健康な食事が必要な低所得者層には手が届かないと批判を受けてもいる。これに対して、グリマーCEOは、雑誌の取材で、規模の拡大にともない価格を下げていく意思があると話している。将来的には、飢えや肥満などさまざまな健康問題を抱える人たちも利用できるようにしていく意向だ。

キャンベルが単独出資

キャンベルは2013年にプラム・オーガニックを買収し、ハビットに単独出資をしている。同社のデニス・モリソン代表取締役社長は、「食と健康とテクノロジーは一体となり、今や食品産業全体を変えようとしている」と話す。

「ハビットはこうした流れのなかで、健康に生きることやそれぞれに合った栄養という分野において良いポジションにいる。キャンベルは、食品業界の未来を見据えた取り組みの一つとして投資した。これからの業界には、新しい考えや今までなかったようなイノベーション、新しいものを生み出すパートナーと収益構造を生み出していくベンチャー投資が求められる」(デニス・モリソン・キャンベル代表取締役社長)