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温室効果ガスの25%が食品から 国際NGOオックスファム調査

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米国サステナブル・ブランド編集部
米や大豆、トウモロコシ、小麦、パーム油の温室効果ガスの総排出量が中国・アメリカを除く国の一国あたりの総排出量を上回るImage credit:Simone Bosotti

国際NGOオックスファムの最新調査で、米や大豆、トウモロコシ、小麦、パーム油の温室効果ガスの総排出量が中国・アメリカを除く国の一国あたりの総排出量を上回ることが分かった。(翻訳・編集:オルタナ編集部=小松遥香)

パリ合意は達成できるのか

この5品目のサプライチェーンにおいて排出量の大幅な削減ができなければ、パリ合意の目標である「2050年までに二酸化炭素(CO2)排出ゼロ」と「世界の気温上昇を1.5度以内に抑える」は達成できなくなる。

「パリ合意は歴史的な一歩だが、目標達成には一刻も早く対策を講じなければならない」とオックスファム・インターナショナルの食糧・気候政策担当ティム・ゴレ氏は話す。

同氏は「6月28日から29日にロンドンでビジネス・気候サミットが開催されたが、集まったビジネスや産業界のリーダーたちは、パリ会議で大幅な排出量削減の取り組みが加速していると証明しなければならない。また、気候変動によって誰よりも被害を受けている農家を助けるために最善を尽くさなければならない。他の業界に先んじて、特に食品・飲料産業はこの対策に取り組みが必要」と続けた。

6月27日、オックスファムはリサーチコンサルタント会社CE Delftなどが作成した、世界の食品別の二酸化炭素排出量を記載した報告書を発表した。報告書では、それぞれの食品の世界的な生産状況と水不足についても調査している。

米やトウモロコシ、小麦は、数百万の人々の食糧の安全保障を支える主食だが、米やトウモロコシなどの二酸化炭素排出量はパーム油に比べて圧倒的に高かった。報告書は、小規模農家の生活を支えながら排出量を減らす方法があると伝えている。

世界の温室効果ガスの約25% が排出される

オックスファムによると、食品業界全体で世界の温室効果ガスの約25%を排出している。食品業界が動くことで、解決できる問題が多くあるといえる。

温室効果ガス排出の最大要因は土壌からの排出にあると報告づけている。

例えば、肥料を使用した際に発生する亜酸化窒素は最も汚染された物質のひとつとして知られる。オックスファムは、土壌から放出される物質は、森林伐採同様に環境に悪影響を及ぼすと提言している。

気候変動と農家

食品産業が成り立つのは何百万人という小規模農家があってこそだが、小規模農家は異常気象になすすべもないのが現実だ。気候災害が原因で、農家やその家族は貧困や飢饉に陥っている。オックスファムはさらに女性の貧困問題についても指摘し、土地はおろか融資や資金もないことを報告している。

アル・ゴアは、「食品業界は単にサプライチェーンの排出量削減に取り組むのではなく、小規模農家と協力していかなければならない。気候が変動していくなかで、小規模農家の生活を保障しながら農家の生活が向上するよう手助けしなければならい。これは人にとってもビジネスにとっても良いことだろう。食品企業が変われなければ、パリ合意の公約は達成できなくなる」と述べている。

気候変動対策に、企業は適応能力を上げ、レジリエンスを高め、小規模農家やサプライチェーンの犠牲になっている人々の脆弱性を解消する必要がある。そのために企業がすべきことは何か検討しなければならない。運営とサプライチェーンにおいて軽減目標を設定し、グローバル・サプライチェーン全体において小規模農家や女性のニーズに合った介入方法が有効となる。

グローバル企業の対策

ベン&ジェリーズやケロッグ、ネスレ、ペプシ、ユニリーバは、早急に気候変動対策を取らなければならないと訴えている。こうしたグローバル企業は、ここ数か月中に食品・飲料部門が果たすべき責任を果たすと宣言し、アメリカをはじめとするグローバルリーダーにパリ合意という初心に戻るようアピールした。

ユニリーバとネスレは、オックスファムが実施する食品・飲料企業を対象にしたサステナビリティ査定キャンペーンの気候変動対策部門で、常に高得点を取っている。