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アメリカ

サステナブル・ブランド本会議、デトロイトで開幕

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サステナブル・ブランド国際会議の2019本会議が米ミシガン州・デトロイトで6月3日から4日間の日程で始まった。テーマは「Delivering the Good Life」(グッド・ライフの実現)。世界が複雑化するなか、この時代に人々が求める「グッド・ライフ(良い暮らし)」を企業や機関はどう実現していくのか――。米国の自治体史上最大の財政破綻を経験したデトロイトで、企業やNGOなどの参加者2000人以上が集まる本会議が始まった。

世界の課題を映す街・デトロイト

サステナブル・ブランド国際会議(以下、SB国際会議)は米国での本会議を皮切りに、共通の年間テーマを掲げ、世界13ヵ国で開催される。デトロイトでの開催は2017年以来、2度目。4日間の開催期間中、基調講演やセッション、ワークショップに登壇する企業や団体、自治体の関係者は300人を超える。

コ―アン・スカジニアCEO

デトロイトは、ゼネラル・モーターズ(GM)やフォード・モーターが本拠地を置き、米国の経済発展を支えた自動車産業の中心地として知られる。同市は2013年7月、財政破綻した。

「デトロイトは世界課題の縮図」――。サステナブル・ブランドを2006年に立ち上げたサステナブル・ライフ・メディア社のコ―アン・スカジニアCEOはそう話す。廃墟の残る街から新しい未来に向かい立ち上がろうとするデトロイトでの開催を通し、参加者らが21世紀型の「グッド・ライフ」の実現に向けて考え、議論し、取り組みを進める後押しをする狙いだ。

SB本会議の3本柱とサーキュラーエコノミー

今回の2019 本会議では、「サイエンスとテクノロジー」「ストーリーテリング」「パートナーシップと協創」が3本柱になっている。4日間、毎日開催される基調講演はこの3本の柱に沿って行われ、先進的な取り組みを行う企業や団体、個人が登壇し、新しいアイデアや挑戦を共有する。

サイエンスとテクノロジー:日々進化し続ける科学・技術の可能性とリスクを認識し、どう「グッド・ライフの実現」のために役立たせていくのか。
ストーリーテリング:悲観的な未来図や消極的な視点で、サステナビリティに取り組み、語り、人を巻き込んでいくのではなく、グッド・ライフを実現するために必要となる想像力や希望を持てるストーリーテリングとはどのようなもので、どうそれをつくっていくのか。
パートナーシップと共創:グッド・ライフを実現するために、どのような団体や企業、個人と新たにパートナーシップを結ぶのか。そして、実際に現状を変えるどれだけのインパクトをもたらすことができるか。

3本柱に並び、2019本会議で重要なテーマとして取り上げられているのが、「再生型(Regenerative)・循環型(Circular)のビジネスモデル」だ。基調講演で司会を務めたSustainAbilityのマーク・リー氏は「2016年から続く『パーパス・ドリブンの時代』の次に来るのは『再生型・循環型の時代』。再生型・循環型のビジネスモデルが浸透していくことでグッド・ライフが実現される」と語った。

初日の基調講演には、ケロッグのスティーブ・ケヒレーン最高経営責任者(CEO)やBASFのディーク・フォエステ副社長、SAPのマギー・バギー イノベーション・サービス・アンド・ソリューショングローバル統括、レンタルパレットプールシステム最大手の豪CHEPのローラ・ナドー北米支社長、米シューズブランドのオールバーズのジュリー・チャニング マーケティング担当副社長が登壇。次世代の代表として登壇したのは、2016年、ミシガン州フリントで発生した水道水の鉛汚染問題を当時大統領だったバラク・オバマ前大統領に手紙で訴えた11歳の活動家マリー・コペニーさん。

2019本会議は、イベントとして「サステナビリティ目標」を掲げており、米ベンチャー企業のテラサイクルなどと協働し、ごみのリサイクル、証書を使った再生可能エネルギーの使用、ミシガン州など近隣の食材を使った料理の提供、ウォーターサーバーを配置するなどして運営されている。さらに、4日間を通して、「イベント・サステナビリティ」をテーマにしたセミナーやワークショップが開催されている。

小松 遥香 (Haruka Komatsu)

アメリカ、スペインで紛争解決・開発学を学ぶ。一般企業で働いた後、出版社に入社。2016年から「持続可能性とビジネス」をテーマに取材するなか、自らも実践しようと、2018年7月から1年間、出身地・高知の食材をつかった週末食堂「こうち食堂 日日是好日」を東京・西日暮里で開く。前Sustainable Brands Japan 編集局デスク。