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イギリス

世界初の「ヴィーガン」エネルギー、英国で供給開始

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英国のグリーンエネルギー企業が7月4日、「ヴィーガン」エネルギーの供給を開始した。「ヴィーガン」エネルギーは、畜産廃棄物系バイオガスなど動物性原料による発電を排除し、太陽光と風力だけで発電した電力である。畜産廃棄物系の発電は再生可能エネルギーとして世界で増加しているが、同社はより厳格な「ヴィーガン」を打ち出した。背景にはアニマルウェルフェア(動物福祉)に反する畜産場に対する英国社会の批判がある。(クローディアー 真理)

「ヴィーガン」エネルギーのポスター

英国国内で畜産廃棄物を利用して発電しているのは、大手エネルギー会社6社のうちの4社と中小約8社だ。

残念ながらこれら廃棄物の一部は、アニマルウェルフェアに反する畜産場からのものである。

動物の権利を尊重し、衣食住で動物性のものに一切頼らないヴィーガン志向の人が増える一方で、消費者は、エネルギー生産に畜産廃棄物が用いられていることを知らされていない。

加えて、畜産廃棄物系の発電での電力使用を通じて、アニマルウェルフェアを無視した畜産場を知らないうちに支援してしまう点が問題視されている。

そんな中、「ヴィーガン」エネルギーの選択肢を用意したのが、国内約20万世帯に電力を供給するエコトリシティ社 (本社・グロスタシャー州)だ。

デール・ヴィンス最高経営責任者は、「多くのエネルギー企業が臆面もなく、自社を『倫理的』『グリーン』と称している」と指摘する。

アニマルウェルフェアに反する畜産場の1つ、ケージ飼いの養鶏所
By Compassion Over Killing [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons

「アニマルウェルフェアに反する畜産場からの廃棄物を用いるのは違法ではないが、こうした情報は隠すべきではない。原材料や産地を知った上で食品を買うのと同様、エネルギーに対しても、明確で分かりやすい表示を義務づけるべき」と、エネルギー分野でもサプライチェーンの透明性の徹底を訴える。

エコトリシティ社の「ヴィーガン」エネルギーは、英国を本拠地とする国際団体、ヴィーガン協会の認証を得ている。同社は続いて、草のみを原料としたガス、「ヴィ―ガン」ガス製造所を近々建設する。

クローディアー真理

ニュージーランド在住ジャーナリスト。環境、ソーシャル・ビジネス/イノベーションや起業を含めたビジネス、教育、テクノロジー、ボランティア、先住民マオリ、LGBTなどが得意かつ主な執筆分野。日本では約8年間にわたり、編集者として多くの海外取材をこなす。1998年にニュージーランドに移住。以後、地元日本語誌2誌の編集・制作などの職務を経て、現在に至る。Global Press所属。