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イギリス

英LBSが途上国の問題解決めざし新たな研究施設

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英ロンドン・ビジネス・スクール(LBS)は先月、開発途上国が抱える社会問題を解決し、経済発展に寄与するためのビジネス活動を支援するための新たな研究施設を開いた。起業家、ビジネス関係者、非営利組織や官僚、大学の専門家らに広く門戸を開き、オープンイノベーションの場を提供する。(クローディア―真理)

LBSのレクチャーシアターでの学生たち © Radek Bayek

LBSが新設したのは、「ウィーラー・インスティチュート・フォー・ビジネス・アンド・デベロップメント」だ。ビジネスの識見をもって、開発途上国が抱える経済的、社会的、物質的な問題に対処することを目標としている。

ウィーラー・インスティチュートは、その母体である、世界でも指折りのビジネス研究施設、LBSが蓄積した専門知識を土台に、協同的アクションリサーチを行う。国内外の組織と連携し、根拠に裏打ちされた問題解決法を編み出す。施設内での研究に留まらず、生み出された対処方法は、各組織に戻し、実践してもらう。

こうした過程を経て把握した潜在的ニーズや経験を、次世代を担うリーダーたちである学生に教示する。各人を触発し、目標をさらに引き上げる後押しをする。

貧困を抱える人に雇用の機会を与える雑誌、『ビッグ・イシュー』。英国の社会的企業の代表といえよう© Lewis Commons (CC BY 2.0)

LBSのフランソワ・オータロ・マグネ学長は、「LBSに在籍する学生たちは、企業活動には利潤を求めること以外に、有意義な目的があることを知っている。ウィーラー・インスティチュートのおかげで、学生たちはより包括的で、社会貢献に積極的に関わるビジネスリーダーに育つだろう」と期待を寄せる。

開設にあたり、旅行ガイドブック『ロンリープラネット』の創業者であるウィーラー夫妻が1000万ポンド(約15億円)を出資した。両者とも運営に携わる。モーリーン・ウィーラー起業部門責任者は出資の理由を、「世界を旅する中で、企業が社会に及ぼす好影響も悪影響も見てきた。「『ビジネス活動は社会でポジティブな役割を担い、世界発展に貢献すべき』という自らの信条が、新研究所の姿勢と一致した」と語っている。

クローディアー真理

ニュージーランド在住ジャーナリスト。環境、ソーシャル・ビジネス/イノベーションや起業を含めたビジネス、教育、テクノロジー、ボランティア、先住民マオリ、LGBTなどが得意かつ主な執筆分野。日本では約8年間にわたり、編集者として多くの海外取材をこなす。1998年にニュージーランドに移住。以後、地元日本語誌2誌の編集・制作などの職務を経て、現在に至る。Global Press所属。