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スカンジナビア航空がバイオジェット燃料の導入を開始

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スカンジナビア航空(SAS、本社スウェーデン)は15日、ノルウェーのベルゲン空港でバイオジェット燃料の導入を開始したと発表した。同空港は8月からバイオジェット燃料を提供しており、供給を受けるのはSASが初。国際民間航空機関(ICAO)では2020年時点でのCO2排出量を基準に定め、それ以降は水準を超える排出量が買取りとなる規制をかけている。バイオジェット燃料の導入は基準のクリアや、業界が掲げる環境目標の達成に不可欠とされる。(オルタナ編集部=沖本 啓一)

バイオジェット燃料は、一般的に食用廃油や生ごみ、たばこ、藻類、木材などの油成分を精製して作られる。米宇宙航空局(NASA)などの研究によると、従来の化石燃料を使用した場合と比べ、バイオジェット燃料を利用した場合には、ジェット機から排出されるCO2量を最大7割削減できる。

国際的な航空機から排出されるCO2量は年間7億8100万トンにのぼる。世界で人為的に排出されるCO2総量の2%にあたり、交通部門の中では12%を占める。未対策の場合、排出量は今後も年3%ペースで増え続けると見込まれている。国際線の就航は国境をまたぐため、京都議定書やパリ協定のCO2排出量削減の枠組みの対象外となっていた。

このような状況の中で、191か国が加盟する国際民間航空機関(ICAO)は2016年9月、国際線の航空機が飛行中に排出する温室効果ガス排出量を規制することで合意した。2020年のCO2排出量を基準とし、2021年以降に基準を超える場合には、排出量削減に取り組むほかの部門の企業などからのCO2排出枠の購入を義務づける。

航空部門では、排出枠の売買の結果、CO2の総排出量が増加することを避けるため、売買クレジットの利用に対してもICAOによる基準が設けられる見込みとなっている。国土交通省によれば、日本の航空会社が無対策だった場合、このCO2排出枠の購入による負担は2035年時点で年間数百億円になると予測される。

国際航空運送協会(IATA)でも、2020年までに燃料効率を1.5%ずつ改善し、2050年までに航空会社のCO2排出量を50%(2005年比)に抑制する環境目標「Vision for the Future」を掲げている。世界でバイオジェット燃料の供給をしている空港はまだ数が少なく、バイオジェット燃料そのものの普及率も高いとは言えない。SASは今回の導入を「温室効果ガス削減に向けた重要なステップ」と位置付けている。