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タイ

タイ・ユニオン、エシカルなツナ缶目指しNGOと合意

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今回の合意事項には「海上の労働者が人道的で公平な待遇を受けること」も含まれる

世界のツナ缶最大手タイ・ユニオンは7月11日、よりサステナブルかつエシカルな水産物調達を求める消費者からの約70万筆の署名に応え、国際環境NGOグリーンピースと合意した。新たに公表した行動計画では、マグロ・カツオ漁における混獲防止策や人権侵害の監視システムなどを導入する計画。今後もグリーンピースと半年ごとに会合を開き、サプライチェーン全体の改善を検証していくという。(瀬戸内 千代)

生態系保全策としては、FADs(人工集魚装置)の使用を2020年までに半減すること、および、はえ縄漁を一本釣りやひき縄釣りに移行することを発表した。いずれも、混獲によるウミガメやサメなどの犠牲を減らす効果が望める。

倫理面では、暴力などの人権侵害やIUU(違法・無報告・無規制)漁業の温床になりかねない遠洋漁業の現場に着目。漁の長期化を招く「洋上転載」の一時禁止や、オブザーバー乗船による監視を行う。サプライチェーン企業の行動規範などを第三者が監査する仕組みもつくる。

グリーンピースはタイ・ユニオンのサプライチェーンを調査し、2016年に人権侵害の疑いを指摘。責任と改善を求めて、2年以上にわたり国際規模のキャンペーンを実施してきた。

同社は2016年秋に改善を決断したが、グリーンピースは取り組み不十分と判断して、2017年6月にバンコク市街地をマグロの衣装でリレーし、同社本社に世界の消費者からの署名を届けた。署名はその後も増え、約70万筆に達した。

グリーンピースは、世界の消費者の代弁者として同社との面談を重ね、誓約の内容強化を交渉し、今回の合意にこぎ着けた。両者は今後も半年ごとに話し合い、まず今後1年半の成果と進捗の第三者機関による評価を、2018年末に発表する予定。

タイ・ユニオンは猫缶の大手供給元でもあり、その企業活動の改善は、世界のペットフード業界のサステナビリティ向上にも寄与する。

グリーンピース・インターナショナルのバニー・マクダーミッド事務局長は、水産大手の改革によって「その他多くの企業も同じ水準を目指さざるを得なくなる」と述べ、他企業への波及に期待を込めた。

瀬戸内 千代

海洋ジャーナリスト。雑誌「オルタナ」編集委員、ウェブマガジン「greenz」シニアライター。1997年筑波大学生物学類卒、理科実験器具メーカーを経て、2007年に環境ライターとして独立。自治体環境局メールマガジン、行政の自然エネルギーポータルサイトの取材記事など担当。2015年、東京都市大学環境学部編著「BLUE EARTH COLLEGE ようこそ、「地球経済大学」へ。」(東急エージェンシー)の編集に協力。