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フランス

仏スーパー、ケージ養鶏卵の販売停止を相次ぎ発表

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ケージ飼いの鶏 写真提供:L214

フランスの主なスーパーが、ケージで飼育される鶏の卵の販売を数年以内にやめると相次ぎ発表した。最大手のカルフールは2025年にも販売を中止する。動物愛護団体が2016年5月、暗く「すし詰め」状態の養鶏場の映像をネットで公表して以降、世論の批判が高まった。この動きは主要な外食企業や、ホテルグループにも広がっている。(羽生のり子)

映像公開前の2015年にケージ養鶏卵の販売をやめていたスーパーは、ベルギー系・コルリュット(本社・ベルギー・ハル)と、仏南西部で展開するシーヴェル・グループ(本社・アヴァロン)のアタック・ビル、マキシマルシェだ。

高級スーパーのモノプリ(本社・クリシー)は2016年4月に中止した。フランス一の売り上げを競う2大スーパーのカルフールとルクレールは、2016年の映像公開後、ともに2020年に自社ブランドでケージ養鶏卵をやめ、2025年にはすべてやめることを約束した。

ドイツ系ディスカウントスーパーのリドルとアルディは、2025年から世界中の全店舗でやめる予定だ。現在、フランスのほとんどのスーパーが、2025年には全廃することを表明している。

ケージ養鶏卵販売中止のきっかけを作った動物愛護団体「L214」は、家畜の悲惨な飼育状況を隠し撮りしたビデオを公表し、そのような飼育をやめさせる署名運動を行っている。

2016年のビデオは、20万羽を飼育し、多くのスーパーに卵を供給する南東部アン県の養鶏場で撮ったものだった。L214の共同創立者の一人、ブリジット・ゴティエール氏は、ほとんどのスーパーが2025年をメドにしている理由を「新たな供給体制を作るのに年数がかかるため」と説明する。
 ケージ養鶏卵取り扱い中止は、スーパーだけでなく、外食産業やホテルにも広がっている。外食3大企業のソデクソ(本社・イシー・レ・ムリノー)、エリオール(本社・パリ)、コンパス(本社・英国)は2025年に全世界で使用を中止する。

マクドナルドは2016年から、サブウェイは2013年から止めている。ホテルでは、ヒルトン、マリオット、ハイアットが全世界で使用を中止している。

「次は加工食品業界だ」とゴティエール氏は言う。5月30日、L214は、卵麺などの加工品を製造するパンザニ・グループ(本社・リヨン)に卵を供給する養鶏場のビデオを公表した。

パンザニ・グループは即反応し、同日午後、2025年までにケージ養鶏卵の使用をやめることを発表した。

羽生 のり子 (はにゅう・のりこ)

環境、エコロジー、農業、食物、健康、美術、文化遺産を主な分野とするジャーナリスト。1991年からフランス在住。環境ジャーナリスト協会、自然とエコロジーのジャーナリスト・作家協会、文化遺産ジャーナリスト協会(いずれもフランス)の会員。共著「世界の田園回帰」(2017年、農文協)。