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オーストラリア

豪トヨタが進める解雇予定者支援が地域で一定の評価

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2017年末に閉鎖される、メルボルン郊外にあるアルトナ工場での車両検査。カムリはオーストラリアの工場で製造される最後のモデルとなった(C)Toyota Motor Corporation Australia Limited

トヨタ・オーストラリア(本社・ポート・メルボルン)が2017年末にオーストラリア国内の生産工場を閉鎖するのに伴い、解雇予定者2600人の将来を支援する「ドライブ・プログラム」を進めているが、このプログラムが従業員や地域社会、周辺産業の労働組合で高く評価されている。プログラム参加者は解雇該当者の半数超にのぼり、会社と共に個々に解雇後の計画を練り、必要があれば再トレーニングを受ける。運営費やトレーニングなどの費用はトヨタが賄っている。

「解雇後、従業員の再就職がスムーズに決まるよう、できる限りのことをしたい」と、工場閉鎖が決まった半年後の2014年8月から始まったドライブ・プログラム。従業員に、解雇後の身の振り方をじっくり考える時間を提供することを目的に、早い時期から開始された。解雇予定者2600人の内、現在の参加者は1400人。スキル、家庭の状況、将来の希望は従業員ひとりひとりで違うため、個々に専任アドバイザーをつけた上でプログラムは進められている。

従業員は工場と本社の2ヵ所に設けられたドライブ・センターを訪れ、再就職に向けた情報を収集、会社側が開く就職説明会に出席するなどし、自分が進む方向性を見極める。そして次のステップでは、今後の動きに沿うプランを作成、必要であれば、希望する仕事に就くための勉強をしたり、トレーニングを受けたりする。学費やトレーニング代は、異業種への転職を目指した準備も含め、すべてトヨタが負担している。センターは工場閉鎖後も半年間、解雇者のサポートを続ける。

国内では、10月初旬にフォードが工場を閉鎖。GMホールデンも2017年末の予定で生産中止を発表し、自動車産業界における解雇者が増えていく中、トヨタのドライブ・プログラムは、個々の従業員への対応、長期的な支援という点で、従業員だけでなく、地域社会、周辺産業の組合などで評価されている。

クローディアー真理

ニュージーランド在住ジャーナリスト。環境、ソーシャル・ビジネス/イノベーションや起業を含めたビジネス、教育、テクノロジー、ボランティア、先住民マオリ、LGBTなどが得意かつ主な執筆分野。日本では約8年間にわたり、編集者として多くの海外取材をこなす。1998年にニュージーランドに移住。以後、地元日本語誌2誌の編集・制作などの職務を経て、現在に至る。Global Press所属。