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ニュージーランド

NZスーパー、平飼いなど動物福祉に配慮した卵を奨励

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ニュージーランドで大型スーパー最大手のカウントダウン社(本社オークランド)は8月、「放し飼い」や「平飼い」など、動物福祉(アニマルウェルフェア)に配慮した養鶏を鶏卵生産者に奨励するプログラムを発表した。同国の消費者の間で、狭い鶏舎に閉じ込める養鶏に対する反発や動物福祉への支持が広がっているのに対応した。今後、基準を満たした鶏卵は全量を買い上げる。

現在ニュージーランドの鶏卵市場では、放し飼いの卵が19パーセント、平飼いが5パーセント、残り76パーセントはケージ飼いだ。ケージ飼いの劣悪な環境は、近年各メディアで報じられ、一般消費者の知るところとなった。

報道の影響で、ケージ飼いの卵より1個あたり倍の価格でも、放し飼いや平飼いの卵を買い求める傾向は強い。カウントダウンでは、現在約40パーセントを占めるこうしたタイプの卵の売れ行きは、さらに増えていという。一方、政府諮問委員会も2022年までにケージ飼いの廃止を求めており、その勧告に従い、鶏卵産業界は対応に努めている。

販売者と生産者が協力し、消費者の需要に合わせて、動物福祉に配慮した卵を増産することを目標に、同社は「エッグ・プロデューサー・プログラム」を国内の全鶏卵生産者向けに始めた。参加希望の生産者は、放し飼い、平飼いの卵を生産・増産するにあたっての投資計画と、動物福祉の実践方法を提示。規定の基準を満たしていれば、パートナーシップを結び、投資を受けて生産された卵を同社が買い取る。

すでに3社に対して、向こう3年間にわたり、総計250万~400万NZドル(約19億~30億円)を投じることを決定。その内の一社、ホールサムNZの最高責任者、イアン・ヒギンズ氏は、「放し飼いや平飼いの卵の増産や生産開始には、何百万ドルもの資金が必要だ。今回のように実際に販路が保証されていない限り、鶏卵生産者は投資に踏み切ることは難しい」と、このプログラムの重要性を語っている。

クローディアー真理

ニュージーランド在住ジャーナリスト。環境、ソーシャル・ビジネス/イノベーションや起業を含めたビジネス、教育、テクノロジー、ボランティア、先住民マオリ、LGBTなどが得意かつ主な執筆分野。日本では約8年間にわたり、編集者として多くの海外取材をこなす。1998年にニュージーランドに移住。以後、地元日本語誌2誌の編集・制作などの職務を経て、現在に至る。Global Press所属。