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経産省、水素エネ利用拡大に向け規制緩和を促進

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水素レポート発表に先立ち、世耕弘成・経産相(右)とIEAのビロル事務局長(左中)が会談した

経産省と国際エネルギー機関(IEA)は14日、共同で新たな「水素レポート」を発表した。IEAが作成し、経産省は「公正かつ客観的で、極めて重要なレポート」として、今後の政策にこれを反映し、関連規制の緩和方針を加速・継続する見込み。レポートにはこのほかに、商業需要の拡大や、コスト削減に向けた研究開発支援など7つの提言が盛り込まれる。またIEAのビロル事務局長は、中東での日本タンカーなど2隻への攻撃について「エネルギー供給の要所。大きな懸念事項」と発言した。(サステナブル・ブランド ジャパン編集局=沖本 啓一)

18項目の規制緩和進める

「IEA 水素レポート」は、15日から始まる「G20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合」の関連イベントで発表された。水素エネルギーは次世代型のエコ・エネルギーとして経産省が積極的に利用拡大を推進しているが、施設の設置コストが高いなどの課題が多く、普及が十分進んでいるとは言えない。

今回IEAが作成したレポートでは、コストの問題のほか「水素インフラの開発の遅れ」や「化石燃料からの水素製造によるCO2排出」、「規制による水素産業発展の制限」など現状の課題を指摘。それらの解決へ向け、長期的なエネルギー戦略の中での水素の役割を確立することや、研究開発の支援、規制の緩和などの7項目を提言として盛り込んだ。

経産省はこのレポートを「信頼できる第三者機関による公正かつ客観的で、極めて重要なレポート」と説明。今後の政策にその内容を反映するとした。世耕弘成・経産相は「水素エネ利活用のために、18の項目について聖域なき規制の見直しをしていきたい。水素エネ社会に向けた予算も1.5倍に増額しているところ」と話した。

経産省はこれまでに水素ステーションの予備品の使用に関して、認証の取得にかかる時間を縮めるためのマニュアル変更や、水素を充填する容器の設置条件を合理性に基づいて緩和するなど、緩和施策を措置している。今回の発表で、緩和を推し進める方針を強調した。

またG20と水素レポートの関連について、「国際的な場で水素の利活用確認できることは非常に重要なチャンス」と述べた。IEAとの共同発表も、海外との協調を深めることが狙いのひとつだという。

日本タンカー攻撃海域は「エネルギー供給の要所」

ホルムズ海峡付近で日本船籍のタンカーが攻撃されたことについて、ビロル事務局長は「(攻撃があったホルムズ海峡は)エネルギー供給のチョーク・ポイント(要所)」との見解を示し、エネルギー問題を考える上での大きな懸念事項であることを示した。これを受け、世耕弘成・経産相は「G20(サミット)で議論を深めたい」と話した。

沖本 啓一(おきもと・けいいち)

フリーランス記者。2017年頃から持続可能性をテーマに各所で執筆。好きな食べ物は鯖の味噌煮。