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気候変動リスクをどう財務評価するか

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SB2019Tokyo

セッション「投資先をリ・デザインするESG」。左からファシリテーターの河口真理子氏、ロイドレジスタージャパンの冨田秀実氏、金融庁の池田賢志氏、MSCI Inc.の鷹羽美奈子氏

近年TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)をはじめESG投資をめぐる動きが盛り上がりを見せ、企業の情報開示への投資家の関心が高まっている。サステナブル・ブランド国際会議2019東京のセッション「投資先をリ・デザインするESG(環境・社会・ガバナンス)」では、官民の専門家を招き、企業の情報開示はどうあるべきかを中心に議論がなされた。(オルタナ編集部)

セッションには、ロイドレジスタージャパンの冨田秀実取締役、金融庁国際室の池田賢志室長、MSCI Inc.の鷹羽美奈子・ESGリサーチ エグゼクティブ・ディレクターの3人が登壇。大和総研調査本部の河口真理子研究主幹がファシリテーターを務めた。

「これからの投資家は、リスクヘッジだけでは十分ではなく、SDGs(持続可能な開発目標)にいかに貢献しているかも加味していくべきだ」と冨田氏。企業にとっても、社会に対するインパクトを含めた幅広い開示を行っていくことが課題となる。

池田氏は金融庁の立場から「企業と投資家の建設的な対話が大事」と説き、投資家側にも対話ができるだけの準備が必要だとした。そのためにも、企業には、非財務情報のさらなる充実が求められる。TCFDに限らず、リスクマネージメントの中身も問われている。

鷹羽氏も、ESGの格付けをしている立場から「豊富な開示情報を出したからといって企業の評価・格付けに及ぼす影響は限定的。それよりも経営戦略や、どういった社会に適応していきたいのか、その中身が大事だ」と述べた。

冨田氏は「気候変動が企業の財務に直結し始めている点に投資家が注目している」と指摘。さらに「TCFDは、気候変動に関係する財務インパクトは何かを報告すべきとしている」と述べた。

その上で企業内での取り組みに触れ、「サステナビリティ担当者が経営層にも響く話をするための糸口として、TCFDのような発想は有効だ。長期的なビジョンで話をすれば、気候変動による物理的なリスクも見えてくる」とした。

社会や環境に対してアクションを起こせば、それが企業価値として評価される仕組みが整い始めている。その繋がりを考えることが、非財務情報の開示を考える上でも大事になってくる。

河口氏は「企業も投資家も、リテラシーや社内の意思疎通の問題などを抱えているが、良い企業や良い社会をつくっていく手段であるということを全員が自覚しそれぞれのポジションを理解することで、投資のあり方がリ・デザインできるのではないか」と指摘した。