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サステナビリティとビジネスの両立は企業の生存戦略

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SB2019Tokyo

セッション「サステナビリティに先進的な企業は何が違うのか」

サステナビリティに取り組む企業の姿勢はどう変化し、競争のあり方は今後どうなっていくのか――。「サステナブル・ブランド国際会議2019東京」のセッション「サステナビリティに先進的な企業は何が違うのか」では、先進企業の具体例を踏まえ、パーパス(存在意義)の重要性や、社会課題に取り組む際の「大義」の必要性についての議論が展開された。(オルタナ編集部)

セッションには、モニターデロイトの藤井剛執行役員、セイコーエプソンの市川和弘執行役員、ユニリーバ・ジャパン・ホールディングスの伊藤征慶 ヘッド・オブ・コミュニケーションが登壇。関東学院大学の小山嚴也副学長がファシリテーターを務めた。

藤井執行役員は冒頭、サステナビリティを取りまく世界の潮流について、「SDGs(持続可能な開発目標)が定められた2015年、グローバル資本主義の構造的欠陥が明らかになり、様々なセクターが連携してそれを解決していこうというモードへと変わった」と述べた。

その上で、自社のプロダクトなどの機能・品質・価格で競争するという市場のあり方が今後変化していくと指摘。一社だけでは解決できない社会課題に対し、他社やNPO/NGOなど多様な主体と協働して新たな市場をつくっていく「エコシステムでの競争」が起こっていると強調した。

ユニリーバの伊藤氏は、「サステナビリティを暮らしの『あたりまえ』に」というパーパスを紹介。例えば世界で約8億の人びとが安全な水を手に入れることができない、約20億の人びとが不衛生な環境で生活している、などの社会課題の解決に向け、企業・ブランドとして挑戦していると述べた。

同氏は、「サステナビリティとビジネスの両立は、生き残りをかけた会社としての戦略」だと強調。持続可能な成長に向けた「ユニリーバ・サステナブル・リビング・プラン」を紹介し、そのベネフィット(効果)は「成長の加速」「信頼の強化」「コスト削減」「リスクの低減」の4つだと論じた。

エプソンの市川氏は、サステナビリティへの取り組みの一例として、オフィスで使用した紙を、その場で再生紙にするオフィス製紙機「PaperLab」の開発について紹介した。

さらに同社は、「PaperLab」を導入する企業や自治体とともに、障がい者雇用の創出にも結び付ける取り組みを展開していると述べ、「サステナビリティへの取り組みは、単なる責任感ではなく、逆にチャンスだ」と話した。

モニターデロイトの藤井氏は「社会課題やサステナビリティを考える上では『大義』が重要だ。それをいかに取り組みの推進力やエネルギーにしていけるかが問われているのではないか」とコメントした。

ファシリテーターの小山氏は「こうした企業の変化に対し、若い世代を中心に消費者の側にも変化が起きている」と分析する。

会場では、Z世代(1990年代後半以降生まれ)にあたる高校生が最前列で聴講し、「サステナビリティに対する企業の誠意が伝わった。それを感じ取るために消費者自身も成長していくことが重要だ」と意見を述べた。