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ブランド・イノベーターのためのESG情報サイト 「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)

いいね!を超えたサステナビリティの実現に向けて

SB2019Tokyo

セッション「ミレニアル・Z世代から学ぶ 日本におけるサステナブル消費のツボ」

ミレニアル・Z世代(2000年代以降に成人となる世代)のサステナブルなブランドや製品に対する感度は、他のジェネレーションに比べて高いと言われる。「サステナブル・ブランド国際会議2019東京」の2日目に行われたワークショップでは、「ミレニアル・Z世代とサステナブル消費について」、メディア、ソーシャルアントレプレナー、トレンドメーカーの視点から、具体的な意見が交わされた。(寺町幸枝)

ファシリテーターである博報堂・買物研究所上席研究員、松井 博代氏は、生活者が「サステナビリティ」という概念を受け入れる際に、実利と理念のどちらが大切なのだろうかと投げかけた。なかでも、一番懸念されているのが「サステナビリティが〈いいね!〉で終わりがちで、消費に繋がりにくい」という声だ。

これに対して、3人のパネリストは、それぞれ次のように考えを語った。

ソーシャルアントレプレナーとして、社会貢献型グルメアプリ「テーブルクロス」を運営するテーブルクロスの城宝 薫社長は、「他社と同じ価格設定に加え、同じ品質の上でサステナブルであれば、消費者も顧客もついてくる」と、理念=実利の重要性を語った。

自身の製品を例にあげ、グルメアプリを運営するなかで、写真や情報量を含めて、他社と同じレベルのコンテンツを用意することで、導入のハードルを低くしていると話す。

一方、日本と米国で教育を受け、国内のブランドや自治体のサステナブル化に関するコーディネーターをしているフリーランスディレクター/エシカルコーディネーターのエバンズ 亜莉沙氏は、日本は海外に比べて、浸透度がまだ浅いと語る。

一番の理由は「教育」の違いであり、「米国では各個人が考えや意見を積極的に話す。サステナブルに関する行動は、その延長だ。しかし、日本ではまだサステナブルという考え方が個人レベルに落ちておらず、企業が先行して行う活動という見え方が強い」と話す。

ハースト婦人画報社 コンテンツ本部 ラグジュアリー メディア グループ 編集局長 兼 25ans コンテンツ部 25ans総編集長 兼 リシェス編集長の十河 ひろ美氏は、「グッチやシャネルがリアルファーの使用を禁止した」と語りだし、ファッション業界におけるトップブランドの傾向を例に挙げた。

「メジャーなブランドが率先してサステナブルなビジネス環境構築へ取り組まずして、特に若い世代はついてこない」と話す。十河氏は、自身が関わるメディアを通じてSDGs(持続可能な開発目標)がブームで終わるのではなく、人々の心の中に入るような啓蒙活動を行う重要性を感じているという。

実際に富裕層にチャリティー活動を啓蒙する活動「リシェス・オブリージュ」の精神を広めるべく、「メセナ・ガラ」の開催を通じて私設美術館の運営費用を捻出したり、チャリティ白書を10年に渡り主力媒体「25ans」で掲載している。

サステナブルな商品やサービスが選べるためのポイントはなんだろうか。一つは、「啓蒙活動の重要性」だ。社会として受け入れられていくかは、空気作りによる。そのため、メディアもメーカーも一丸となって、伝えていく姿勢を持つ必要がある。

十河氏は「日本人ならではの、足並みを揃えることを理由にせずに、日本に備わる高い精神性を生かした取り組みがあるべき」と話す。

城宝氏は、「実は日本には(無意識の)サステナビリティが浸透しているのではないか」と示唆した。その例として、日本のペットボトルのリサイクルで習慣化されている、キャップと包装ビニールの取り外しを挙げ、これは日本でしか定着しなかったサステナビリティ行動だと指摘した。

なお、日本のペットボトルのリサイクル率は80%を超えており、欧州(42%)、米国(20%)に比べ、非常に高い数字を積み上げていることを多くの日本人は知らない(日米欧のリサイクル状況比較)。

費用をかけずに、誰でもできるこうした「社会貢献の日本固有モデル」を作ることこそ、これからサステナブルマインドを日本に拡散するために、必要な仕組みだと語った。

さらに、日本固有の「もったいない精神の価値転換」が、今後重要な役割を果たすのではないかという意見も出た。「どうせ」、「せっかくなら」、こうした考えをどのようにサステナブルに転換できるかが、今後の若い世代を巻き込んだサステナブルな製品やサービスの浸透に大きく関わってきそうだ。

寺町 幸枝(てらまち・ゆきえ)

Funtrapの名で、2005年よりロサンゼルスにて取材執筆やコーディネート活動をした後2013年に帰国。現在国内はもとより、米国、台湾についての情報を発信中。昨年より蔦屋書店のT-SITE LIFESTYLE MAGAZINEをはじめ、カルチャー媒体で定期出稿している。またオルタナ本誌では、創刊号以来主に「世界のソーシャルビジネス」の米国編の執筆を担当。得意分野は主にソーシャルビジネス、ファッション、食文化、カルチャー全般。慶應義塾大学卒。Global Press理事。