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包括連携成功の鍵は「WhyとHow」の共有

SB2019Tokyo

セッション「自治体・アカデミック・企業による包括連携協定」

ノボ ノルディスク ファーマと郡山市、福島県立医科大学の三者は、「郡山市を日本一健康な都市にすること」を共通の目的として、糖尿病対策事業に昨年から取り組んできた。産学官で連携したことで、1ヶ月で糖尿病患者110人に対面でインタビューを実施するという成果を出した。「自治体・アカデミック・企業による包括連携協定」をテーマにしたセッションでは三者の担当者が登壇し、連携がうまくいった要因や連携で得られる共有価値について伝えた。(辻陽一郎)

包括連携協定を結ぶ企業や自治体は急速に増えている。それぞれの強みを最大限活かすことで、一つの組織ではできない社会課題の解決につなげることができる。ノボ ノルディスク ファーマ医療政策・渉外本部の石丸吹雪シニアパブリックアフェアーズマネジャーは「多くの連携では講座をやろうなど”What”から始まることが多いのではないか。連携のプロセスで大切なことは、なぜ(Why)やるのか、どのようなやり方(How)が最適なのか、関係者全員が納得するかどうか。そうすることで連携のスピードやクオリティも変わってくる」と述べた。

三者は昨年から糖尿病に関する共同研究をスタートした。郡山市保健所地域保健課健康増進係の上杉慶子さんは、最初は積極的になれなかったというが、担当者でプロジェクトの目的を共有し、最適な手段を話し合うなかで、取り組む価値を理解していったという。

郡山市は高齢化が進み、糖尿病人口が増加。自治体財源にも影響を与えているという現状がある。上杉さんは「自覚症状がなく重症化し、足の切断や人工透析になるなど市民のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)がおびやかされている。研究に取り組むことで、医療費の適正化を通じ社会保障制度を存続させることにもつながる」と意義を語った。

糖尿病患者へのインタビューでは30人の保健師が携わった。福島県立医科大学医学部衛生学・予防医学講座の日高友郎講師は「保健師の方々は本来業務もある。質を担保するには目的を理解してもらうことが重要だった」という。30人の保健師に一同に集まってもらい、背景にある課題について解説し、インタビューガイドには保健師の意見も反映した。結果として研究では異例だという1ヶ月110人から質の高いインタビューを得ることができた。

「現場の人に納得してもらうことが、一番の機動力であり、助けになる」と石丸さん。「社会保障制度の存続など、一社だけではどうにもならないことがある。ウィンウィンの関係を築きながら連携をすることで社会問題を解決することができる」と語った。

辻 陽一郎 (つじ・よういちろう)

オルタナ特約記者、NPO新聞代表。フリーライターとして、NPO・NGOやボランティア、ソーシャルベンチャー、企業のCSRなどを中心に取材。

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