横河電機の古川千佳サステナビリティ推進室室長(左)とP&Gのヴァージニー・ヘリアス グローバル持続可能性担当副社長

「サステナブル・ブランド国際会議2019東京」の2日目の基調講演(プレナリー)では、2018年リーディング・ウーマン・アワードを受賞した2人の女性が登壇した。横河電機経営管理本部サステナビリティ推進室の古川千佳室長とプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)のヴァージニー・ヘリアス グローバル持続可能性担当副社長だ。同賞は「持続可能な開発のための世界経済人会議」(WBCSD)が優れた女性リーダーを表彰するもので、毎年10人が選出されている。(オルタナ編集部=堀理雄)

ジェンダー平等は男性にもプラス

横河電機は食品や薬品、鉄鋼などの工場やプラント全体をコントロールするシステム構築などを行っている。同社では2050年に向け、社会課題の解決を目指す世界の動きを背景に、サステナビリティ目標「Three goals」を定めている。

古川室長は「目標を実際に会社の事業計画に組み込んでいくのは簡単ではなかった。周りを巻き込むにはパッションが必要だが、企業はそれだけでは動かない。きちんとしたロジックとパッションの両方で経営者を説得することが重要。そのプロセスを評価して頂けたのでは」と振り返った。

また中東やロシア、インドなどグローバルに展開する同社にとって、受賞がポジティブに受け止められ、SDGs(持続可能な開発目標)へのコミットが進めやすくなったと古川室長は述べる。

「同賞はSDGsの目標5『ジェンダー平等』の達成に向けたもの。日本では女性へのエンパワーメントが遅れている。ジェンダー平等は女性だけでなく男性にとっても良いことで、達成することで社会全体の価値が高まっていく」(古川室長)

勇気あるリーダーシップを

P&Gでは、持続可能性に向けた目標「アンビション2030」を設定。環境と社会への好影響の実現と意識向上を進め、消費者のための価値創造を目指している。

ヘリアス担当副社長はその具体的な取り組みとして、「Loop」と「Alliance to End Plastic Waste」(AEPW、プラスチック廃棄物を除去するためのアライアンス)を紹介した。

Loopは、再利用可能な梱包材、容器で一般消費財などを提供するオンライン・ショッピング・プラットフォーム。AEPWはプラスチック廃棄物をなくしていくためにグローバル企業が協働で設立した非営利団体だ。両方の取り組みともにP&Gが参加しており、重要な役割を果たしているという。

「大規模な変化を起こすための触媒となることが重要。それにむけ勇気あるリーダーシップや、先進的な取り組みから学ぶ謙虚な姿勢が大事だ」

ファシリテーターを務めたCSOネットワークの黒田かをり事務局長は2人について、「とても自然体で、それでいてサステナビリティを牽引する強い意志を感じる。新しいタイプのリーダーとして、次世代のロールモデルになっているのでは」と述べた。

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