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SDGs達成のカギは生態系理解にあり:専門家指摘

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左からモア・トゥリーズの水谷氏、サントリーの内貴氏、アミタの本多氏。
写真提供:モア・トゥリーズ

森林保全団体モア・トゥリーズはこのほど、SDGsを指標に企業価値を高めたい人々を対象に、「SDGs達成のカギを知る~企業活動と生物多様性・森林の関係とは~」と題したセミナーを開催した。基調講演に立ったアミタホールディングス経営戦略グループの本多清氏は、「生物多様性」をキーワードに、経済社会を生態系になぞらえて、生産者と消費者ばかりで「分解者」がいないため物質循環の輪が途切れていると解説した。(瀬戸内千代)

生態系は、生物の多様性によって安定し、持続している。本多氏は、「生命40億年の知恵の結晶」に学べばSDGsを達成できると述べ、生態系の仕組みを経済活動に当てはめた。

自然界では、生産者である植物と、消費者である動物の間に、土壌中のミミズや微生物のような分解者が介在して物質循環が完結する。しかし、人間界では分解者が機能せず、「一方通行になっている」。

「経済社会を担う企業は、生産者であると同時に消費者だが、分解者でもあるという自覚と意志を持ち、その責務を果たすことが重要だ」(本多氏)

また、ハーマン・デイリーの「持続可能な発展の3条件」を紹介し、「それを守らなかったために、さまざまな不都合が生み出されている」と述べた。ハーマンは、消費・排出の速度を、再生・浄化の能力の範囲内にとどめることを、10年以上前に提唱していた。

写真提供:モア・トゥリーズ

モア・トゥリーズの水谷伸吉事務局長が進行したパネルディスカッションには、サントリーホールディングス コーポレートサステナビリティ推進本部の内貴研二サステナビリティ推進部長も加わった。

参加者から海洋プラスチック問題に対する同社の方向性を問われると、内貴氏は、「プラスチックは有益で有用な素材。適切に分解する機能が社会に実装されれば良い。とくにペットボトルはリサイクルの優等生。会社を挙げた取り組みを開始するところだ」と答えた。

国内飲料業界初の「ボトルtoボトル」を2011年に実現した一方で、2017年には缶コーヒー「BOSS」をペットボトルで売り出してプラスチック削減に逆行する動きを見せたサントリー。「水と生きる」を掲げる同社の次の動きに注目したい。

瀬戸内 千代 (せとうち・ちよ)

海洋ジャーナリスト。雑誌「オルタナ」編集委員、ウェブマガジン「greenz」シニアライター。1997年筑波大学生物学類卒、理科実験器具メーカーを経て、2007年に環境ライターとして独立。自治体環境局メールマガジン、行政の自然エネルギーポータルサイトの取材記事など担当。2015年、東京都市大学環境学部編著「BLUE EARTH COLLEGE ようこそ、「地球経済大学」へ。」(東急エージェンシー)の編集に協力。