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環境省が来年度予算で30億超の気候変動対応策

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気候変動適応施策パッケージの全体像(環境省提供)

猛暑や豪雨、台風など命にも関わる気候変動に対応するため、政府は9月に気候変動適応に関する施策を発表した。6月に成立した地球温暖化に伴う災害を軽減するための「気候変動適応法案」に基づき、「適応の総合的推進」「熱中症分野」「生態系分野」「水・大気環境、自然災害分野」の4分野で構成している。「適応の総合的推進」では国立環境研究所、地方自治体や民間企業とも連携し、気候変動への総合的な対策を講じる方針。(箕輪弥生)

政府が9月19日に発表した「環境省気候変動適応施策パッケージ」は、2019年度概算要求額31.4億円で深刻化する気候変動への適応策について総合的な基盤作りを行うものだ。適応策をまとめた環境省地球環境局総務課気候変動適応室に話を聞いた。

「適応の総合的推進」では、国立環境研究所(茨城県つくば市)を、気候変動の影響や適応の情報収集・提供に関する拠点と位置付けた。これにより、さらに正確で科学的見地に基づいた情報を集め、発表していく。

気候変動による影響や適応策は地域によって異なるため、地方公共団体などとの連携による地域での取り組みも強化する。具体的には、地域の実情に合った環境対応を発信する「気候変動適応情報プラットフォーム」を立ち上げ、情報を共有して適応策を支援している。

例えば、愛媛県では、乳牛の夏バテ対策として開発された「ダクト細霧」を、徳島県では海水温の上昇で生産量が大きく減ったワカメの品種改良について報告するなど、地域で有効だった適応策の情報を共有化する。

「適応の総合的推進」では、海外の途上国の気候変動対策ニーズの調査や、企業の持つ技術とのマッチングも行いたいとしている。

「熱中症分野」でも、企業や地方自治体が行った優秀事例を分析し、モデル事業として効果を検証していく予定だ。ここには、2020年の東京五輪に向けた熱中症対策事業なども含まれる。

「生態系分野」では、例えばマングローブを利用して高潮を防ぐなど、生態系を活用した防災・減災の考え方を普及させる。

「水・大気環境、自然災害分野」は、気候変動による水質、生物等への影響や適応策、災害による廃棄物の処理システムを構築する。しかし、この分野は大規模災害対応など範囲が大きく、気候変動対応だけで予算を切り出すことが難しいため、予算には全ては入っていない。

深刻化する気候変動に対して、政府は原因となる温室効果ガスの排出を減らす「緩和策」とあわせて、今後は長期的な視野に立った「適応策」を推進していく意向だ。

参考情報
気候変動適応情報プラットフォーム


箕輪 弥生 (みのわ・やよい)

環境ライター・ジャーナリスト、NPO法人「そらべあ基金」理事。
東京の下町生まれ、立教大学卒。広告代理店を経てマーケティングプランナーとして独立。その後、持続可能なビジネスや社会の仕組み、生態系への関心がつのり環境分野へシフト。自然エネルギーや循環型ライフスタイルなどを中心に、幅広く環境関連の記事や書籍の執筆、編集を行う。著書に「地球のために今日から始めるエコシフト15」(文化出版局)「エネルギーシフトに向けて 節電・省エネの知恵123」「環境生活のススメ」(飛鳥新社)「LOHASで行こう!」(ソニーマガジンズ)ほか。自身も雨水や太陽熱、自然素材を使ったエコハウスに住む。JFEJ(日本環境ジャーナリストの会)会員。

http://gogreen.hippy.jp/