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みずほFG、石炭火力発電などの投融資基準を厳しく

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みずほフィナンシャルグループ(みずほFG)は6月13日、責任ある投融資などに関する「特定セクターに対する取り組み方針」を制定した。兵器、石炭火力発電、パーム油、木材については環境・社会的にリスクが高い業種であるとし、特に注意が必要となる「留意する取引」と定めた。環境NGO6団体は同社の新方針を歓迎する一方で、「パリ協定の目標達成のためには具体性に乏しく、さらなる進化が求められる」とコメントした。(オルタナ編集部=吉田 広子)

みずほFGの新方針の発表を受けて、350.org Japan、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)、気候ネットワーク、FoE Japan、グリーンピース・ジャパンの6団体は、共同声明を発表した。

みずほFGは、「石炭火力発電を資金使途とする与信案件については、主として温室効果ガス排出に関わる技術が、同等のエネルギー効率を持つ実行可能な代替技術と比較しても、経済合理性を踏まえて適切な選択肢であるか等を検証したうえで、与信判断を行う」としている。

これに対し、NGO6団体は「三菱UFJフィナンシャル・グループに続き、日本3大金融グループの中で、石炭火力発電セクターへの与信判断に関する方針表明が進んでいる」と一定の評価をした。

一方で、「国連環境計画(UNEP)は、パリ協定の1.5~2℃目標達成のためには、仮に高効率のものであっても、新たな石炭火力発電所の建設は許されず、既存の石炭火力発電所も廃止していく必要があると勧告しているが、今回の方針では、全く触れられていない」と指摘。「国内外の石炭火力発電事業や石炭火力発電に関与する企業への新規融資・引受から迅速に撤退する意思と工程をより明確にすることを求める」とした。

■ベトナムの石炭火力発電事業に融資決定

さらに、みずほFGは今年4月、ベトナムのギソン2石炭火力発電事業への融資を今年4月に決定している。

環境NGOは「超々臨界圧より劣る大型の超臨界圧技術を用いており、OECD 公的輸出信用アレンジメントに反する。このプロジェクトの環境影響評価においては代替案が検討されていない、住民協議が適切に行われていないなどの懸念があり、銀行による環境・社会リスク管理を定めた『赤道原則』に違反している可能性もある」と批判した。

パーム油、木材に関しては「気候リスクの大きな要因であるパーム油・森林伐採による森林減少・劣化に対して、リスク管理を強化する判断を示した一方、取引判断をパーム油や木材の認証制度に頼る姿勢は不十分で、森林減少への対処状況や泥炭地管理状況を確認する必要があるといえる」と懸念を表した。

吉田 広子 (よしだ・ひろこ)

株式会社オルタナ オルタナ編集部 オルタナ副編集長
大学卒業後、ロータリー財団国際親善奨学生として米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。2007年10月に株式会社オルタナに入社、2011年から現職。

「オルタナ」は2007年に創刊したソーシャル・イノベーション・マガジン。主な取材対象は、企業の環境・CSR/CSV活動、第一次産業、自然エネルギー、ESG(環境・社会・ガバナンス)領域、ダイバーシティ、障がい者雇用、LGBTなど。編集長は森 摂(元日本経済新聞ロサンゼルス支局長)。季刊誌を全国の書店で発売するほか、オルタナ・オンライン、オルタナS(若者とソーシャルを結ぶウェブサイト)、CSRtoday(CSR担当者向けCSRサイト)などのウェブサイトを運営。サステナブル・ブランドジャパンのコンテンツ制作を行う。このほかCSR部員塾、CSR検定を運営。