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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)

日本社会に適したダイバーシティ推進とは

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SB 2018 Tokyo

左から、山岡氏、リクルートホールディングスの伊藤氏、ユニリーバ・ジャパン・ホールディングスの島田氏、日本航空の植田氏

「日本に適応した未来を拓くダイバーシティ推進で持続可能社会へ」セッションでは、パネリスト3者が、少子高齢化が世界に類を見ない速度で進む日本で、労働力の維持・確保という側面から、自社でのダイバーシティ推進や働き方改革への取り組み、それにより社内でどのような効果があったかについてプレゼンテーションを行った。(中島洋樹)

最初にユニリーバ・ジャパン・ホールディングス人事部の島田由香取締役人事総務本部長は、「ワーク・イン・バランス」よりも、「ワーク・イン・ライフ」が大事ではないかと切り出し、自社の新しい働き方への取り組み「WAA(ワー)」を紹介。

これは、働き方・場所・時間を社員自身が選択できる新しい取り組みで、上司に申請すれば理由を問わず、会社以外の場所でも勤務が可能。平日の6時から21時の時間帯で自由に勤務時間や休憩時間を設定でき、全社員が対象、期間や日数の制限がないというものである。

これは同社が、「業務の生産性を重視するあまり、社員の幸せや健康ないがしろにしてきたのではないか」との反省から導入を試みたもので、遠距離通勤を強いられる、あるいは満員電車で通勤する従業員や小さい子供を抱える女性従業員の負担を軽くするといった効果も期待でき、社員のストレス軽減につながったと効果を披露した。その上で、どんな課題に取り組むにしても、「ビジョンをしっかり持って取り組むことが大事ではないか」と語った。

次にリクルートホールディングスのサステナビリティ推進室・伊藤綾室長は、同社のダイバーシティへの取り組みは、女性の活躍を推進することがきっかけだったと説明した。取り組む上で重要な点として、「見える化」をすることであるとし、「取り組みを数値化していくことを大事にしてきた」と強調。

また取り組む中で、現在感じている点として、「中間管理職がどれだけダイバーシティを考慮し、部下が幸せになるようについて考えているかを汲み取り、部下に対するアプローチの方法を考えていかなければならない」こと、そして、「ダイバーシティの概念は理解しているが、今日現在何をしたらいいのかわからない」という声が多い、の2点を挙げた。

そういった中、同社では自発的に立候補した男性・女性管理職が隣部署の部下の家庭に赴き、家事や育児、買い物の手伝いをして、部下の状況を理解する取り組み「育ボスブートキャンプ」を行い、ダイバーシティ推進に向け取り組んでいると述べた。

最後に日本航空の植田英嗣執行役員・人財本部人事教育担当兼人事部長は、航空機を1便運航するのに、自社のほとんどの社員が関わっており、「誰もがフェアに生き生きと活躍できる職場でないとお客様にいいサービスが提供できない」と力説した。同社でも外国籍の従業員と日本の従業員が職場で隣同士になることが当たり前となってきていることや、従来のように夜遅くまで机に向かい業務をこなしていてはお客様に笑顔で良いサービスを提供できないとの観点から、ダイバーシティや働き方改革に取り組むようになったと語った。関連会社も含めて企業規模が大きい同社では、部署ごとに「特区」を設け、試行して得られた結果の良い面を他部署に反映できる仕組みをつくり、好循環を生み出していると締めくくった。

3者のプレゼンテーション、パネルディスカッションを終えて、本セッションのファシリテーターのグロウス・カンパニー・プラスの山岡仁美取締役は、「人それぞれの幸せを実現する職場であることが大事であり、実現するために、まずやってみる。反対意見は当然出てくるものであり、うまくいかない場合は、改善策を皆で考えることが重要と考える。そして、自分の強み、弱みをしっかり把握し、強みを生かしてサポート役を買って出る、そして弱い部分を相手に伝えてヘルプを仰ぐことで、ダイバーシティの推進、働き方改革の実現に近づくのではないか」とセッションを結んだ。