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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)

サステナブル・ブランドをつくる3つのデザイン

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左からテレビ東京 伊藤 隆行氏、サラヤ 代島 裕世氏、電通 明石 英子氏、 並河 進氏

「サステナブル・ブランドをつくる3つのデザインとは?」のセッションでは、「どうしたら自社のブランドをサステナブルなものにできるか」というテーマに企業、広告代理店、メディアという異なる業種からのゲストが具体例を紹介しながらその方法論を論じた。セッションでは、企業の存在意義を高める「志す力」、社会課題をふまえて事業化していくための「アイデア発想力」、多くの人に共感を得て広げていく「巻き込む力」という3つのデザイン力が重要であり、それぞれが行き来しながらブランド力が深まることが見えてきた。(箕輪 弥生)

2008年から企業のソーシャルビジネスのデザインや戦略を手がける電通「新!ソーシャルデザインエンジン」の並河進チーム代表は、3つのデザイン力の中でも最も重要なのは「Purpose Design」、つまり「志す力」だと語った。100年先を見据えた企業の存在意義を問いただし、それをすべての社員が自分の言葉にできることが大事だと言う。

企業として何をすべきかが見えたら、社会のための事業として構築「Social Business Design」する。これを広め、いかに多くの人を巻き込むかは「Communication Design」の力が必要だ。その際、多くの人が心の中で思っているが言語化されていないワードを見つけるのがコツだと電通・並河氏は言う。

この3つのデザインを実際に行い、成果を出しているのが「ヤシノミ洗剤」などでおなじみのサラヤの「100万人の手洗いプロジェクト」だ。きっかけは2009年の新型インフルエンザの流行だった。この際、同社では「本業の公衆衛生の分野で社会課題を解決できないか」と問い直し、これが2010年からのアフリカ・ウガンダでの衛生プロジェクトにつながった。

当時ウガンダでは、病院でも手術の際の消毒が不完全で感染症を起こし亡くなる人も多かったため、ユニセフ(国連児童基金)のサポーター企業として手洗いを普及させる。現在は感染予防に大きな成果をおさめ、アルコール消毒剤を現地生産するまでになった。同社では継続して対象商品の売上の1%をウガンダにおける手洗い普及活動に寄付している。サラヤ・代島裕世コミュニケーション本部長は当時を振り返り、「感染予防という創業当時の原点に立ち返ることで、解決すべき社会課題が見えた」と語る。

一方、テレビ東京の人気番組「池の水全部抜く大作戦」の伊藤隆行プロデューサーは、番組をつくる過程で外来種問題という生物多様性に関する社会課題に直面したと話す。ミドリガメなど人間が外から持ち込んだ外来種が増えて、地域の生態系に大きな影響を与えている問題だ。それを、番組を通じてお茶の間にわかりやすく可視化したことで関心が高まった。

これらの事例をとらえ、進行役を担ったSB 2018 Tokyoの足立直樹プロデューサーは、持続可能なブランドを作るためには「自分たちの本来のパーパスに結びつけていくことが重要だ」と指摘した。

箕輪 弥生 (みのわ・やよい)

環境ライター・ジャーナリスト、NPO法人「そらべあ基金」理事。
東京の下町生まれ、立教大学卒。広告代理店を経てマーケティングプランナーとして独立。その後、持続可能なビジネスや社会の仕組み、生態系への関心がつのり環境分野へシフト。自然エネルギーや循環型ライフスタイルなどを中心に、幅広く環境関連の記事や書籍の執筆、編集を行う。著書に「地球のために今日から始めるエコシフト15」(文化出版局)「エネルギーシフトに向けて 節電・省エネの知恵123」「環境生活のススメ」(飛鳥新社)「LOHASで行こう!」(ソニーマガジンズ)ほか。自身も雨水や太陽熱、自然素材を使ったエコハウスに住む。

http://gogreen.hippy.jp/