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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Brands, PBC)

環境や人権に配慮した「持続可能な調達」とは

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SB 2018 Tokyo

左からWWFジャパン 筒井隆司CEO兼事務局長、UL社 グラント フレンチ・ビジネスリーダー兼コマーシャルダイレクター、イオンの三宅香執行役兼環境・社会貢献・PR・IR担当、大和ハウス工業の近久啓太CSR部長、NPO法人ACEの白木朋子共同創設者兼事務局長

企業やNPOが「サステナブル・ブランド国際会議2018東京」の「環境や人権に配慮した『持続可能な調達』とは?」と題したパネルディスカッションで、責任ある調達について議論した。パネリストは、大手調達元であるイオンと大和ハウス、サプライチェーンの持続可能性を支援している米国UL規格、児童労働問題の解決に取り組むNPO法人ACE。立ち位置の異なる4者が現状や課題を共有した。(瀬戸内 千代)

年間36億人の顧客と接点を持つイオンの三宅香執行役兼環境・社会貢献・PR・IR担当は、サステナブル調達に対する取り組みが早かった水産部門には「(魚の減少に対する)危機感があった」と語った。

米国UL社EHSサステナビリティ部門で欧州・中東・アフリカおよびアジア太平洋地域を担当するグラント フレンチ・ビジネスリーダー兼コマーシャルダイレクターは、H&Mやリーバイス、PHILIPSなど環境・社会面で高い数値目標を掲げるブランドを紹介。

リスク管理と同時に投資も呼び込む海外事例を受け、ファシリテーターを務めたWWFジャパンの筒井隆司CEO兼事務局長は、「野心的なゴール設定が世界の潮流」と説明した。

NPO法人ACEの白木朋子共同創設者兼事務局長は、推計1億5200万人、世界の子ども約10人に1人が児童労働に従事していると報告した。18歳未満の5m以上の高所での就労も児童労働であり、日本でも死亡事故例があるという。

教育を妨げ人間の尊厳を奪う児童労働がある限り、SDGsが掲げる貧困撲滅は「ほとんど不可能」と白木氏。児童労働の70%が農林水産業、90%弱がアフリカとアジアに集中しており、資源輸入国の日本に「この問題と無関係な人はいない」と述べた。

大和ハウス工業の近久啓太CSR部長は、NGOから森林破壊と批判されて豪州タスマニア産の木材購入を中止した2012年を振り返った。同社グループは、持続可能な調達を6911社の取引先に「お願いして」6593社から同意書を回収。取り組みの前進と海外事業の拡大に伴い、2017年には人権方針を設定したと語った。

瀬戸内 千代 (せとうち・ちよ)

海洋ジャーナリスト。雑誌「オルタナ」編集委員、ウェブマガジン「greenz」シニアライター。1997年筑波大学生物学類卒、理科実験器具メーカーを経て、2007年に環境ライターとして独立。自治体環境局メールマガジン、行政の自然エネルギーポータルサイトの取材記事など担当。2015年、東京都市大学環境学部編著「BLUE EARTH COLLEGE ようこそ、「地球経済大学」へ。」(東急エージェンシー)の編集に協力。