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SDGsが経営陣へ認知拡大、課題は中間管理職

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SDGsの認知が企業の経営陣へ広がってきた。地球環境戦略研究機関(IGES)とグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)が14日発表した調査によると、経営陣の認知度は昨年の28%から36%に上がった。一方で、中間管理職の認識は9%と低く、企業全体として取り組む上での大きな課題となっている。(辻 陽一郎)

SDGs日本企業調査レポート2017年度版「未来につなげるSDGsとビジネス~日本における企業の取組み現場から~」

両団体はSDGsの17ゴール実現に向けた企業の取り組み状況や課題などについて調べるため、昨年9―10月にGCNJ会員企業など254社・団体に調査し、163社・団体が回答した。

調査は3回目。これまでの課題だった経営陣への浸透は年々改善されつつある。経営陣への理解を広げるためには、「経営トップが自らインタビューや対談、イベント登壇などを行うことが有効な手段」という。事前の準備によって理解を深めたり、外部の専門家から意見を聞くことで意識が変化する。

SDGsを経営戦略に位置づけ事業を実施していくには、中間管理職の理解が欠かせない。だが、中間管理職への定着は昨年5%、今年は9%。SDGsに取り組む上での課題を問う質問では、「中間管理職の理解度が低い」と47%が答えた。

CSRヨーロッパが2017年に発表した類似の調査においても、中間管理職の認知度が低かったという。

経営リスクの対応として取り組む

日本企業が重点的に取り組んでいるSDGsの課題は、ゴール13「気候変動」、8「働きがい・雇用」、12「消費・生産」が上位であった。自社に負のインパクトをもたらすと認識している目標をたずねる問いの上位も、「気候変動」と「働きがい・雇用」、「消費・生産」となり、重点ゴールと一致した。「企業はSDGsをビジネス機会とするよりも、経営リスクの対応として取り組んでいると捉えられる」という。

SDGsのビジネス指南書「SDGsコンパス」の進捗では、ステップ1の「理解する」は昨年54%から43%に減り、ステップ2の「優先課題を決定する」が22%から28%に伸びた。かたや、ステップ3「目標を設定する」は13%、ステップ4「経営へ統合する」が8%であり、今後の課題となった。

辻 陽一郎 (つじ・よういちろう)

オルタナ特約記者、NPO新聞代表。フリーライターとして、NPO・NGOやボランティア、ソーシャルベンチャー、企業のCSRなどを中心に取材。

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